2008年07月02日

中日韓レースを終えて

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ワンデザインクラスは、中国が用意した10艇のフライングタイガー10でおこなわれました。photo by Junichi Hirai

 エキサイティングな中国遠征から帰国しました。東京から青島まで約3時間。日本と同じアジアとはいえ、まったく異なる文化や考え方は、理解しがたい印象が残ります。13億とも14億を超えるともいわれる中国の人口を考えると、たった1億人程度の日本の考え方が特別なのかもしれません。

 ことセーリングに関しても、イベントを企画する中国のパワーを感じました。ただし、このパワーはセーリングカルチャーからくるものではなく、中国独特のスポーツ。いや、スポーツというよりも組織的な体系に連なる体育、運動会の印象が残ります。

 遠征6日間のバルクヘッドマガジンは、エスメラルダチームのセーリングを第一優先した毎日でした。プレスボートからの取材ではなく、選手としてヨットレースに出場していたので視点が変わりますが、普段できない体験ができたと思います。

 成績をみるとオールトップの優勝。でも、その内容は余裕と呼べる展開ではありません。第1レースのリコール解消、最後尾スタートにはじまり、ほかのレースでは風上マークで集団にもまれてまわり、ダウンウインドで追い抜かれるシーンも少なくなかった。ジワジワと追い抜いて勝ち取った勝利でした。

 先の記事にも書いた体重を意識したメンバー構成も重要でしたが、その他の準備もうまくいったと思います。工具やリペアキッド、ボートチューニングの用意にはじまり、現場でおこる(信じられない)不具合の対処も的確におこなうことができました。

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北京五輪の旗を持って開会式に華を添えた子供たち。photo by Junichi Hirai

 この大会では、通常のヨットレースでは考えられないことがおこりました。のふーぞ、きねきねチームは、ボートドローで船底が汚れた状態のボートに当たり、船底掃除に相当の時間を費やされました。

 また、セールにバテンが入っていない。燃料がない。帆走指示書がない等々の問題もありました。中国のレースコミティに相談しても時間がかかり解決しないので、いろんな人間に聞きまくり、自分のアシで探しまわるほか手はありません。

 エスメラルダの植松オーナーは、自らマリーナ内外を奔走し、町外れのディンギー倉庫にあったウインドサーフィン用のバテンを探しあてました。サイズのあわないバテンでしたが、テープでつなぎ合わせてでも使えたことは、ボートスピードに大きく影響しました。まるで借り物競走そのもの。今回、日本チームが活躍したのは、こうした面倒な問題をできるかぎり最良の方法で克服できたからだと思います。
 
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広大な施設の日照マリーナ。マリーナの裏にはマンションが建設されています。手前は1日中ゴミを拾う仕事のボート。photo by Junichi Hirai

 北京五輪の開催により、中国のセーリング競技はこの4年間で急速に進化しています。でも、これは、お役所による事業によるもので、中身が伴っていません。また、ディンギーは揃っていますが、レースのできるキールボートとセーラーはまだまだ少ない。

 ヨットの普及よりも先に青島、日照に国際的なイベントを誘致できる施設が造られてしまったという事情もあります。ハード(施設)はあるが、ソフト(選手)がない。

 また、今回のフライングタイガー10、昨年はじめて開催されたチャイナカップでは、ベネトウ40.7を中国ヨット協会が音頭を取って揃えて購入したため、ボートを利用しながら町やマリーナを世界にアピールできるイベントを模索しているようです。

 今後、中国がキールボートレースにどれほど力を入れるのかわかりませんが、もし、強化を進めたらあっという間に日本を追い抜いてしまうでしょう。人海戦術に起因する秘めたパワーには太刀打ちできません。

 中国は、北京五輪にはじまり、日中韓キールボートレガッタ、チャイナカップの開催。ボルボオーシャン世界一周レースの寄港。また、韓国では国際マッチレースのコリア・マッチカップと国際ボートショーの初開催、オリジナルボートの開発、マリーナの建設ラッシュといったニュースがあります。残念ながら日本は、世界に発信するあたらしい企画はありません。

 アジア版オリンピックと呼べるアジア大会で敗退している日本は、すでに「セーリングの強いアジアの国」ではありません。だからこそ、中日韓キールボート親善レガッタの日本チームの活躍は、中国、韓国に対して、「日本もまだ負けてられないゾ」という意思表示でもあったと考えます。

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湾内では子供たちがOP級のトレーニングをしていました。めちゃくちゃ上手。photo by Junichi Hirai

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エスメチーム全員集合。真っ赤で恐縮です。photo by ESMERALDA

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posted by BULKHEAD at 09:21| Comment(2) | 外洋レース
この記事へのコメント
青島がピンチ
中国にほかに有効な海面はあるんでしょうか?

http://www.afpbb.com/article/beijing2008/beijing2008-news/2411269/3081671
Posted by regain at 2008年07月02日 23:03
恐ろしい量の藻ですね。現地の人は人海戦術で掃除するだろう、っていってました。
Posted by HIRAI at 2008年07月03日 09:27
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