念願の総合優勝を決めた早稲田大。おめでとう!photo by Junichi Hirai
全日本インカレは1クラス72艇の大フリートで戦い、しかも3チーム(総合は6チーム)の合計得点で競うという特質から、成績がめまぐるしく変化するセーリング競技といえます。まるで筋書きのない物語。本大会でも、だれも予想できないドラマが待っていました。
肌寒さを感じる曇り空の西宮沖。第8レースは、北東の微風ではじまりました。レースは小さなパフをつかみながらゆっくりと進んでいきます。
470級は、昨日にクラス首位に立った関西学院大が、シングルに2艇、10番台に1艇という文句なしの冴えたコース引きを見せます。フィニッシュ順位は2-5-17で24点を獲得。このポイントでリードを広げるか、に思えましたが、ここで前日3位の福岡経済大が、3-6-7(16点)という最高の順位で関西学院大を追い上げます。
第8レースが終わった時点で470級上位3校の成績は、
1 関西学院大 372点
2 福岡経済大 405点
3 同志社大 427点
となり、上位2校の差は33ポイントとなりました。
第8レースが終わった頃から風は落ちる傾向です。本来なら風待ちも考えるコンディションですが、大会最終日のタイムリミット(最終レースの予告信号)が12時という規定のために、レース運営は残っている北東風で最終1レースを消化したかったのでしょう。しかし、この微風コンディションが両校の運命を分けるドラマをうみました。
風速1.5メートルのなかをスタートした470級は、上マークをまわることには、さらに風が落ちて、体重で作ったアンヒールでわずかにスピネーカーをはらませる程度。この不安定ななかで、強風に定評のある福岡経済大が爆発します。反対に、スタート本部寄りからまとまるチーム戦略をとった関西学院大が、まさかのコースミス。さらに、弱い風のために、サイドマークでコース短縮されることになりました。
関西学院大は、追い上げるチャンスさえ失い26-58-45位(131点)をたたき、8-10-25位(43点)の福岡経済大が逆転優勝を決めました。だれもが予想し得なかった展開であり、また、インカレ特有のドラマでもあります。福岡経済大は2年ぶり4度目の優勝を飾りました。
「最終日はチームで戦うことをせず、各チームの判断に任せました。個人戦の延長、という気持ちです。今年のチームは、全員がいいスピードを持っていたと思います。でも、過信していた部分もあって初日に失敗。2、3日目でチームでまとまって固まるようにしましたが、それもなかなくうまくいかなかった。でも、最終日に各チームが自由に走れたことで、良い結果を出せたんだと思います」(福岡経済大・永井俊之主将)
また、スナイプ級は、前日30点のアドバンテージを持っていた首位の福岡大が、第8レースでまさかの失点98。そして、2-27-30位でフィニッシュした鹿屋体育大が9点差で逆転しました。そして、迎えた第9レースは、先に述べたとおりに風が徐々になくなって、スナイプ級が第1マークへ到達する前にノーレースのホーン。鹿屋体育大が創部以来初となるクラス優勝を飾りました。
「点差を考えるとあせりが出てしまいます。だから、最終日は点差を考えないようにしよう、と。前日のミーティングでは、自分の走りができればいいと話し合いました。それに、失敗しても、だれかがカバーしてくれる、という信頼関係があります。ムードはとても良かったですね。これが結果につながったと思います。個人MVPをとれたのもうれしいです!」(中村孝宏スナイプリーダー)
そして、総合優勝は、第8レースで低迷する福岡大を追い抜いた早稲田大が、続く第9レースでも首位キープ。なんと53年ぶりとなる総合優勝を手にしました。同大は畠山知己監督、小松一憲コーチ指導の下、4年前より総合優勝を目標に取り組んでいます。その成果がようやく実りました。
「大会前、自分たちは470級3位、スナイプ級2位の実力だと判断していました。各クラスで優勝できる実力ではありません。それを踏まえた上で、欲張らずクラス優勝を狙わないことを意識しました。あくまでチームの目標は総合優勝です。今年は「タフ」なチームになることを目指しました。部員からの反発もありましたが、無風でも梅雨の土砂降りでも練習をしました。昼も陸へ戻らずに海で弁当。その理由は、早稲田は関西、九州の大学と違って平日練習ができません。時間は限られているから、少しでも長く海に出ることを大切にしたかった。また、4日間続くインカレは肉体的にも精神的にもタフになる必要があります。今年は、目標どおりタフなチームになれたと思っています」(神谷航路主将)
実力がありながらも優勝できないジンクスにとりつかれていた早稲田大。本大会でも危うい場面がありました。2日目にスナイプ級が2艇ブラックフラッグによる失格。以前はこうした失敗から立て直すことができずに順位を落としていきましたが、今年は違いました。精神的な動揺を振り払ったチーム力の勝利です。
毎日激しく順位が変動した全日本インカレ。バルクヘッドマガジンは、学生たちが最後に見せた、うれしさ、くやしさの涙を、いつまでも忘れないでいてくれることを願います。そして、気持ちをあらたに次のステップへ踏み出してください。
来年の全日本インカレは、岡山県牛窓で開催される予定です。
470級 最終成績
1 福岡経済大 448
2 関西学院大 501
3 早稲田大 515
4 同志社大 557
6 慶応大 675
スナイプ 級最終成績
1 鹿屋体育大 476
2 福岡大 485
3 関西大 493
4 立命館大 522
5 早稲田大 626
6 日本大 690
総合 最終成績
1 早稲田大 1141
2 立命館大 1203
3 関西大 1260
4 福岡大 1272
5 同志社大 1333
6 慶応大 1366
◎全日本インカレホームページ
http://www.kansaigakurenyacht.tbs.gr.jp/
======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
トーヨーアサノ
SWING
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
ノースセールジャパン
エイ・シー・ティー
プラネット・グリーン
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ
SOHO
シエスタ
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
トーヨーアサノ
SWING
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
ノースセールジャパン
エイ・シー・ティー
プラネット・グリーン
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ
SOHO
シエスタ


