2009年10月23日

全日本インカレ展望・総合

【総合】
◎対象校(18)
東北水域:東北大
関東水域:早稲田大学、慶應義塾大学、法政大学、日本大学、中央大学、明治大
中部水域:静岡大学
近畿北陸水域:立命館大学、金沢大学
関西水域:関西学院大学、関西大学
中国水域:広島大学、岡山大学、鳥取大学
四国水域:香川大学
九州水域:鹿屋体育大学、福岡大学

 みどころは、総合優勝を狙うライバル勢に、470級で差をつけそうな関西学院が、その差をスナイプ級で守りきれるかどうかだろう。総合優勝に狙いを絞ってインターハイチャンプの笠井を470からスナイプにコンバート。関西インカレでは狙い通りにスナイプで関西大と接戦に持ち込み、470のリードで総合優勝を果した。逆に、ここ数年、毎年のように強力なスナイプチームを揃える関西大も、昨年までに比べると470チームが格段に強化されており注目だ。全日本の舞台でも、この「関関」の争いは熾烈を極めそうだ。

 関西学院は、創部70周年迎えることを機会に、弱体化したヨット部の再建を託された河野監督が就任して5年目。OB会と連携し、付属、系属の高校ヨット部を強化する一方、リクルート面では自らが全国を飛び回って選手を発掘。現場では、「総合力」を標語に選手33名と、選手と同等の立場で部の運営を牽引するマネージャー陣を加えた総勢40名を超える部員の結束をはかっている。

 遠征には自ら艇を積み込んだトレーラーを牽引し、東西へ走り回って熱血指導。就任以来、3年前に、個選優勝、一昨年はクラス優勝、昨年はクラス2位と470級は安定した成果を残している。スナイプチームもその情熱に応え、今年こそは結果を出さねばなるまい。

 一方、「日本最大規模のヨット部」へと発展させた関西大の田中監督は、ジュニアからユースまでの幅広い人脈を生かし、ここ数年をかけて着々と強化をはかってきた。そうは言っても、このチームの特徴は、上位を争う大学の中では比較的推薦入学での選手の「率」は少なく、現在のレギュラーもスキッパーを含めて約半分は大学入学以降にヨットをはじめた選手ということだ。

 上達の源は、両クラスでそれぞれ10艇以上がレギュラーを争って競う、というスポーツの原点。他大では真似できない「関大スタイル」とでも呼べようか。その競争のレベルも年々上昇、今年はインターハイ上位入賞で推薦入学してきた選手でも、ルーキー時代は当然として、上級生になってもレギュラー争いで苦戦するケースも出てきた。このチーム内での熾烈な競争が、着実に「強さ」につながっている。総合優勝を勝ち取っても何の不思議はない。

 「捨てレースなし」で、選手には異常な重圧がかかり、何が起こるかわからない全日本インカレ。特に今年は牛窓開催でなおさらではあるが、以上のような理由で「総合力で関関有力」と結論する。

 この2チームに優るとも劣らない「選手層」を誇る立命館ももちろん、優勝候補の一角である。このチームで感心するのは、毎年毎年、同じようなチーム力を維持し続けていることである。結果も、ここ2年連続で総合2位。今年も「関関」をまとめて負かす候補の一番手にあげるが、故にその年の学生レベルを知る「ベンチマーク校」として位置づけできる。このチームのもうひとつの特徴は、「エース不在」ということ。これは、例えインターハイ・チャンプが入学してこようとも、「2年生まではクルー」という長く続く部の慣例の影響だろう。

 今年、女子インカレを制した伊藤(4年海津明誠)にしても、「エース」というよりも、その同じレベルに3艇が揃っている、という感じである。今年も、関西学院の470級エース・市野や、関西大のスナイプ級エース・木山のような、「エース不在」が吉と出るか、凶とでるか? あるいは、スナイプの欄で書いたように、今年は思い切って「慣例破り」もありそうで、スナイプでのスキッパー起用もありそうな曽和が、「エース」級の大爆走でクラス優勝でもすれば、総合優勝まであるか!?

 昨年の総合覇者で、今年も関東インカレでは楽に完全優勝したように見えた早稲田。昨年の総合優勝時のスキッパー6名から、両クラスで各1名しか抜けていない。関東インカレでは、その卒業生の穴を、それぞれルーキーが立派に埋めた。以上から、本命や対抗にあげてもおかしくはないのだが、前述した「関関立」に比して決定的に劣ることがある。

 それは「監督の日常不在」。昨年は、全公式戦、全対抗戦を全勝(インカレ直前の両クラス4艇づつで行う早慶戦除く)と、チーム力として傑出していたのに加え、他チームの不調にも助けられて全体的にハイスコアな混戦となった結果、470級3位、スナイプ級5位で何とか総合優勝に辿り着いた。今年も関東3連覇、うち「完全」で2連覇中だが、実は、「地力アップ」というよりは、関東水域全般の地盤沈下の結果とは言えないだろうか? また、ほんの4年前まで、関東では毎年のように当然のごとく完全優勝していた日大が、全日本では楽には連覇できなかったように、「全日本」のタイトルは、そう甘くはない。

 多くの大学ヨット部では、「現場の運営は主将任せ、監督は名誉職か管理職」なのが実態であろう。しかし、野球、ラグビー、また、駅伝など、大学スポーツといえども、メジャー競技では、同じようなことは考えられないのもまた事実。マイナースポーツゆえ、普段の練習からフルタイムで指導にあたる、というのは現実的にむずかしいが、実はそれができている福岡経済の470チームが「常勝軍団」となり、同じように毎週末欠かさずに現場で監督が直接に指導する「関関」では、両クラスでチームが強くなるのは大学の競技スポーツとして当然なのである。

 加えて、地理的理由はあるにせよ、今期、「関関立」がそれぞれ事前に現地の牛窓に何度か足を運んで試走しているのに対し、関東勢からはそうした話も一切聞こえてこない。ゆえに残念ながら、今年の早稲田は、選手個々の力は認めても、「総合連覇」となると疑問符が多い。しかし、密かに何か独自のメソッドを創出していて、今年、簡単に「連覇」を果すようであれば、逆にしばらく「早稲田黄金時代」が続くことになるのかもしれない。

 最後に、部員50名以上を数え、激戦の近畿北陸水域の予選を勝ち抜いて創部史上初めて両クラス揃っての全日本出場を果した国立校の金沢大がどこまで健闘するか、に注目。

 「部員全員セレク」の関東私立名門校が低迷し、また、同じく関東私立中堅数校は安易に推薦枠に頼りすぎた結果、揃いも揃って部員が13、4名に減少、両クラス維持にはギリギリの数になってチーム力低下を招いたと思われる状況下だが、皮肉にも逆に、その関東も含めて、実は全国的に国立大学(特に受験難関校)のヨット部では部員数が多いのはなぜだろうか?

◎・・・・・・・・・関西学院
〇・・・・・・・・・関西大
▲・・・・・・・・・立命館
特注・・・・・・・・早稲田
注目・・・・・・・・金沢大

 新型インフルエンザが猛威を奮っており、油断できない。学生ヨット最高の晴れ舞台に全選手が最高のコンディションで臨める事を祈る。(文・外道無量院)

注)なお、昨年同様、希望者限定の「特別版」を開催直前にリリース予定。希望者は、10月27日(日本時間)までにQZT00265※nifty.ne.jp(※印を@に変えて)までメールにてリクエストのこと。開幕前迄には返信にて送付予定。感想、質問等も歓迎する。

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posted by BULKHEAD at 01:00| Comment(0) | インカレ
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