2010年01月18日

INT14ワールドレポート(1)

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11日までシドニーで開催されたインターナショナル14(INT14)世界選手権

シドニー・インターナショナル14世界選手権レポート・前編
レポート/石田知史
写真/藤井義久

◎マストのハイモジュラス化が進む
 2009年12月28日から1月11日までオーストラリアシドニーで開催されたインターナショナル14級の世界選手権に参加しました。

 インターナショナル14級の歴史を紐解くと、1928年にイギリスにおいてISAFの前身であるIYRUに加盟した世界最古のディンギー、と語られる事が多いですが、オーストラリアにおいてはオーストラリアン14として19世紀末から100年以上の歴史があり、1996年にクラスルールが統一され両クラスが統合した経緯があります。

 そうした意味で、今回のシドニー大会は『インターナショナル14の南半球の聖地』における世界選手権の開催となり、オージー勢の意気込みが感じられました。

 インターナショナル14級は、アメリカスカップ艇やモス級と同様に、全長、全幅、重量、メイン+ジブの面積(スピン面積は無制限!)などの基本的な部分にのみ規定を設けている限定規格級のボートです。

 規定の範囲内に収めればデザイン自由なため、自らが常に新しい技術を取り入れて進化しつつ、他クラスへ最新艤装をフィードバックするディンギー界の牽引役となっており、最近では、オリンピッククラスである49erのマストがカーボン化されましたが、このマスト・セールの開発にも14関係者が多く関わっています。

 特に今回大会ではマストの進化が著しく、ハイモジュラス(高弾性と意訳できるでしょうか?)マストの導入が進み、前回大会から1年半の間に2世代も新しくなっており、柔らかいマストにスクウェアヘッドの浅いセールの組み合わせ、という流れが加速しています。なんと、7.6mのマストにスプレッダーとステイ(PBO)を合わせて8kg弱しかないという艇も登場していました。今後、49erに続く他ディンギーへのカーボンマスト導入のきっかけとなる可能性があるのではないでしょうか?

 昨今の世界的な不況の影響もあり、開発に費用のかかるハル形状の変化は比較的小さなものでしたが、センター・ラダー等のフォイル類は各々がアイデアを出し合い、さまざまな試みが見られました。

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INT14は49erとよく似た2人乗りハイパフォーマンススキフですが、限定規格級なので素材や艤装など各艇ごとに個性的です

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ウイングラダーはいち早くINT14に採用された艤装のひとつ。フラップの角度調整もできます

 ウィング(水中翼)付きのラダーは既にほぼ全艇に普及していますが、水中翼の角度調整機能をモス級から技術移転させてフラップ付きにしたものや、抵抗を最小限にするため極小のラダーブレードにしたものが登場するなど、陸上で各艇の最新艤装を見ながらボートヤードを歩くのも楽しみのひとつです。

 レース海面はシドニー湾北部のマンリー近辺でしたが、海面が非常に狭く、風向によっては崖を擁した岬がレース海面中央に付き出て、下マークから上マークの見通し線上に陸地が入ったコースになる場合もあり、陸地(絶壁の岬!)の影響で風が非常に振れまくるトリッキーな海面です。

 観光ガイドブックには「マンリーの崖は風光明媚なビュースポット…」などと紹介されていますが、われわれからすると、風強く波高い状況の中で、上マークで沈艇を避けながら巨大スピンをホイストしてトラピーズに飛び乗ったら、目の前に絶壁の崖が迫ってくる! という具合で、風光明媚な崖も、「恐怖の壁」以外のなにものでもありません。

 特筆すべきは海上交通の多さで、レース海面をフェリーが数十分おきに横切るのですが、帆走指示書に「フェリーに航路権がある」と明記されているためレース艇はフェリーを避けなくてはなりません(また、フェリーはレース艇を避けてはくれません)。

 フェリーが汽笛を鳴らすと、10艇ぐらいが一斉にタックする風景も見られます。個人的には、ジェネカーの裏から大きなフェリーが現れて背筋がヒヤリとした場面もありました(つづく)。

※記事はインターナショナル14レポート2へ続きます。

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ジェネカーをあげると断崖絶壁「マンリーの崖」が。エキサイティングです

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posted by BULKHEAD at 06:52| Comment(0) | ディンギー
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