2010年05月17日

連載開始、ケンイチ通信

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留学先のプラスメナイ(Plas Menai)ナショナルウォータースポーツセンター

 今年3月、バルクヘッドマガジンでもお馴染みのセーラー、中村健一さんがイギリスに旅立ちました。期限は1年間。旅の目的は、イギリスのセーリング・プログラムを学ぶためです。これは、JSAFオリンピック特別委員会経由、日本オリンピック委員会(JOC)の海外研修制度によるもので、現在、柔道の井上康生さんも同じ理由でイギリスに留学しています。つまり、セーリング大国イギリスで、日本のオリンピックプログラムに役立つノウハウを身につけようというものです。

 ここで中村健一さん(以下、親しみを込めてケンイチと書きます)のプロフィールを簡単に紹介します。ケンイチは、1969年10月生まれ。山口県光市出身。聖光高校でスナイプ級に乗りインターハイ優勝。ジュニアスナイプ世界選手権に優勝。その後、ニッテツ電子(現シルトロニックジャパン)入社直後にジュニアスナイプ世界選手権に優勝、ヨット部を設立し活動。シドニー五輪までは中村公敏選手と組んで470級に。北京まで山田寛選手と組んで470級の五輪キャンペーンをおこなっていました。

 退職後はプロセーラーとして活動をはじめ、ジュニアやユースセーラーのコーチングをおこなったり、ビッグボートチームにも参加するマルチセーラーとして活躍。日本(JSAF)代表として出場した昨年9月のニューヨークヨットクラブ・インビテーショナルカップでは、メインシートトリマーをつとめました。

 留学先は、イギリス北西部のカーナーフォンという町にある、「プラスメナイ・ナショナルウォータースポーツセンター」です。ここで、ディンギーはもちろん、水泳、カヌー、ウインドサーフィンなどのウォータースポーツを子供たちに教えるプログラムに指導者として参加しています。

 ケンイチは、以前より自身のブログを開設していますが、記事のなかには、セーリングの技術的なものやレースに望む姿勢など、セーラーなら興味津々の内容となっています。また、イギリスの子供たちが、どのようなプログラムでセーリングを学んでいるのかも興味深いもの。

 バルクヘッドマガジンでは、ケンイチが留学のなかで体験したセーリング事情や、自身の持つセーリング技術などを、主にブログから抜粋してみなさんにお伝えしたいと思います。題して「ケンイチ通信──FROM イングランド」のはじまりです。(バルクヘッドマガジン編集部)。

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すみません、最近の写真が探し出せなかったので、2007年に撮影した中村健一です。photo by Junichi Hirai

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ケンイチ通信──FROM イングランド
『こちらに来てアッと言う間に半月が経ちました』

文・写真/中村健一

4月18日
 生活のリズムも安定し、少し余裕ができてきました。しかし本当に毎日、毎週たくさんの生徒が訪れてきます。私もここにあるすべての艇に乗り、言葉はまだまだですが、何とか指導できるようになってきました。

 プラスメナイの2km内に2つのヨットクラブがあることを知りました。こんな川みたいな所でも、たくさんのヨットが毎日海に浮かんでいる光景は気持ちのいいものです。

 半月で特に感じたのは、子供たちの指導方法です。午前中の指導は、がんばってシングルハンドに乗り、一人での操作をダメなりに沈しながら泣きながら学び、冷たい海の中セーリングします。

 午後は子供たちの様子を見ながらキールボートに乗せて、午前中の反復でタックやジャイブをおこない、セーリングの楽しさを伝えていく、といった感じです。もちろん午前中とは違い、水に濡れることはなく大変快適にセーリングをおこないます。

 ここで思ったのは、その場の状況に合わせて楽しくセーリングできるいくつものオプションがあるということです。どのようなコンディションでも楽しませるプランがいくつもあることがすごいのです。また、スタッフも安全とコミュニケーション能力は大変高く、クラブのレベルの高さが伺えます。

 私のコミュニケーションレベルは今はかなり低いですが、その分、準備と後かたずけその他もろもろでがんばっています!

 こういったセーリングへのアプローチから真剣に上を目指す選手が出てくるのでしょう。ここに来る子供たちの中で、何人がそうなるかわかりませんが、少なくとも巨大な底辺が確立できている中からのスタートだと思うので、やはりたくさんの選手が出てくるのでしょう。

 私がヨットがあるのを知ったのは高校生です。しかも動機は何かで日本一になりたいといった感じで、たまたまヨット部が全国大会で優勝していた部だったからです。

 もしかしたら、小学校の授業でセーリング体験というものがあり、その時良い思いができていたならばヨットをする確率は高かったかもしれませんね。

 日本では、安全の確保とレベルの高いスタッフの確保ができれば実現できるかもしれません。ここではだいたい6人に対して1人のスタッフが付きます。この研修中にしっかり勉強し、システムの構築を考えていきたいと思います。

 それにしても春というのに写真で見て分かると思いますが、まだ山は雪景色です。日によっては真っ白になっています。 こんな寒い所で沈を繰り返している子供たちは強いです! 指導するゴムボート上は本当に寒く、日本の真冬装備で毎日出ています。

 子供たちに負けず明日からもがんばります。

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イギリス北西部カーナーフォンに広がる、のどかな水辺の風景

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