2010年08月22日

微風アビームの走らせ方



連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『微風アビームの走らせ方』

文・映像/中村健一

7月8日
軽風アビームでのポイントは、
1. スピンポールの高さ
 まずは、自分がどのタイプのスピンを使用しているかで、若干ポールの高さが変わってくるので注意です。私は主にノースA2を使用していました。A2(0.5オンス)はオールラウンドに対応できるスピンで、私は気に入っていました(余談ですが、金メダルを取ったウィルモット/マルコムペアは、V2を使用しています)

10.08.22_01.jpg

 スピンポールの高さはかなり重要で、上げすぎても下げすぎても速く走ってくれません。私は練習の中で上図のように、ジブの縫い目がちょうど目盛りの様な感じで見やすかったので、常にこの縫い目のラインに対して何処にポールが位置しているかを確認していました。

 自分が「今日は速い!」と思った時は、きちんと風速、ポールの高さを再現できるようにノートにメモしておきましょう。
また、遅いと感じた時は、こまめに高さを変えてみれば感じがつかめてくると思います。ただし、これから述べる事項での要因で遅くなっている場合は、高さを変えても意味がないかもしれませんのでご注意を。

2. スピントリム
 みなさんも良く分かっていると思いますが、風上側のリーチ上部が常にカールが入るか入らないところを狙ってトリムするのがベストです。トップチームのクルーはこのスピントリムが完璧です。少しのオーバートリムがスピードロスに直結するので、クルーの腕の見せ所ですね。風上側のガイは、戦略上のボート角度変更に合わせて常に手を添えておくこと。
 
3. ヒールバランス
 微風でのヒールバランスは非常に大切で、私は少しヒールしたところを常にキープするようにしていました。少しヒールしているところへ、ブローが入りこれをゆっくり・もしくは素早く起こす際に、必ず元のヒールポジションよりも起こしすぎないことが大切です。この力加減をマスターするのにかなりの時間を要しますが、これができるようになれば、失速することが減り、今まで以上に速く走れるようになるでしょう。

4. 前後バランス
 ビデオを見てもわかると思いますが、あまり前に行き過ぎると、良かれと思ってもバウが沈みすぎて逆に失速につながってしまうので、適切な位置をコーチ、もしくはボートで見ている人に確認してもらうのが良いでしょう。ここでは微風をターゲットに話をしていますが、更に風が落ちればもちろん前へ、風が上がれば後ろへとモーメントの移動に合わせ、前後移動が必要なのは言うまでもありません。

 北京五輪キャンペーン中は、とにかく軽風重視で全チームが減量している中、われわれのチームは他チームよりも10〜15Kg重く、キャンペーン開始当初は大学生に良く上突破されていました。体重の非常に軽いチームは日本に沢山いますが、これをマスターしてもっと早くなってください。体重の重いチームも繊細なトリムができるようになれば、欠点ではなくなるのでしっかり頑張ってください。

 われわれは減量に減量を重ねて、他チームよりも5〜10Kgの差で抑えることができる様になってからは、ほとんど負けることがない状態になりました。チーム体重が重いというハンディは、私のセーリング技術を大きくレベルアップする事に繋がり、チーム体重がライバルチームとほぼ同じになってからも、この技術が大きく役立ちました。

 アビームを走る距離は非常に短いですが、非常に大切なレグです。しっかり練習して最高の技術を身につけてください。

◎過去記事:ケンイチ通信──FROM イングランド

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先週の西宮ジャパンカップで来日した中村健一(左)とわくたし(バルクヘッドマガジン編集部)。ケンイチは英国留学で日本語の話し方を忘れてるようでしたが元気でした。photo by T.Okura

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posted by BULKHEAD at 06:50| 連載記事