2010年11月23日

470全日本。劇的な幕切れ

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西宮で4日間行われた470級全日本選手権。写真は、最終レース、フィニッシュラインの攻防(渡辺艇、松永艇、市野艇)です。今年の470全日本は、日本ヨット史に残る大激戦だったようです。大会実行委員会による、手に汗握る白熱のレポートをお読みください(バルクヘッドマガジン編集部)。

三つ巴で迎えた全日本最終日
 全日本470チャンピオンを決めるにふさわしい風が吹いた西宮。2010年のタイトルは市野/吉見(cest la vie)が獲得、女子優勝は吉迫/大熊(ベネッセコーポレーション)でした(レポート・写真/全日本470実行委員会)。

 期待通りに朝から最大で10mを超えるブローが吹きつけ、これまで物足りないコンディションだった全日本選手権が一気に活気づきます。

 黒色旗を適用した第9レースのスタートで市野/吉見が出遅れ、全艇の後ろを通って右海面へ抜けていきます。しかし今日の西宮は大きなブローが左右周期的に入っており、抜群のスピードもあって1上ではすでにシングル上位まで復帰。

 優勝を争う長橋/田淵は2番手で先行、松永/今村は10位と出遅れます。しかし松永艇はマークを回るごとに順位を上げ、なんとフィニッシュラインをトップで通過します。2位は長橋艇。市野艇は4位となり、少しずつ点差が縮まってきます。

 しかし、続く第10レースでワンツーでフィニッシュした松永艇・市野艇に対し、長橋艇は7位と出遅れます。トップ2艇の安定感を考えると長橋艇の優勝は厳しくなったかと思われました。

 この時点で市野艇が33点、松永艇が35点。長橋艇が43点。松永艇は市野艇との間に1艇を挟んで先着すれば優勝という展開です。

 そして最終の第11レース。ブローに入ると10m、抜けると5、6mというコンディション。後がなくなった長橋艇が左のブローをうまく使い、この3艇のうちでは真っ先に上マークに飛び込んできます。市野艇と松永艇の順位次第ではまだどうなるか。

 しかし、やはりこの2艇は続いてやって来ました。この時点で長橋艇の優勝が遠ざかったとも言えます。

 2艇のうちインナーループの2上マークに先にやってきたのは松永艇でした。2艇身空いて市野艇と渡辺/八山が同時に回航していきます。松永艇‐渡辺艇‐市野艇の順に入れば松永艇の優勝です。それ以外なら市野艇の優勝です。

市野対松永。ファイナルレグの死闘
 かくして決戦はアウターループのフリーレグへ持ち越されました。

 最終下マークを回ったのは松永艇、市野艇、渡辺艇の順。しかし差はありません。マーク回航後、もちろんこの点差を知っている松永艇はラフィングして市野艇をリーチングレグの上の方へ連れていきます。位置関係からして市野艇は付き合わざるを得ません。その間に渡辺艇がフィニッシュ目指してレイラインを滑走していきます。

 松永艇は渡辺艇が市野艇よりも前に出たと判断した瞬間にフィニッシュラインに向けてベア。ここから市野艇を振り切って、かつ渡辺艇の前でフィニッシュできれば優勝です。市野艇は全力で2艇を追うものの松永艇を上突破することは難しく、渡辺艇が松永艇より先着することをを祈ることとなりました。スピンを張れないタイトな強風のリーチングレグ。時間にすればほんの数分あるかないか、しかしたまらなく長い時間に感じられました。

 フィニッシュ目前、各艇から大きな声が飛び交います。果たしてどんなことを叫んでいたのか。3艇はひとかたまりで重なるようにフィニッシュラインに飛び込んできました。フィニッシュ運営艇が大きな声でコールしたのは、渡辺/八山、松永/今村、市野/吉見の順。時間にして1秒。その瞬間に市野/吉見の初優勝が決まりました。雄叫びと共にフィニッシュラインを切る市野艇。劇的な幕切れでした。

 まだロンドンへの道は始まったばかりです。ナショナルチーム選考会ではアジア大会金メダルのチーム・アビームを相手にどんな戦いぶりを見せるでしょうか。他の上位チームもひとつの椅子を目指して厳しいチャレンジを続けていきます。若手チームの台頭、連続出場を目指す実力チーム、名実ともにナンバーワンチームのプライド、ますます目が離せません。

 かくして全日本470チャンピオンは市野/吉見(cest la vie)、女子チャンピオンは吉迫/大熊(ベネッセコーポレーション)となりました。予選4レース+決勝7レースの合計11レースが実施でき、最後には西宮の風を満喫していただけたかと思います。

 参加された選手の方はもとより、各方面から多くの方々にご支援をいただきましてありがとうございました。各水域から遠征された皆様、お気をつけてお帰りください。

◎全日本470選手権
http://www.jsaf.or.jp/hyogo/470nationals2010/

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posted by BULKHEAD at 22:02| オリンピック