2011年10月28日

全日本インカレ展望(2)

2011年全日本インカレ展望と解説・470級

 日本経済大は、このクラスで現在3連覇中。2003年西宮インカレでデビュー以来、負けたのは2005年(江の島)と2007年(琵琶湖)の2回のみで、あとは出場した8回中で6回の優勝を遂げている。勝率7割5分を誇る「常勝軍団」だ。(文/外道無量院)

 今年も、土居一斗(2年・福岡第一)/磯崎哲也(1年・福岡第一)組を中心とし、岩下哲也(2年・長崎鶴洋)、今村亮(3年・羽咋工)、徳重エリカ(4年・錦港湾)の3人のスキッパーが残る2つの椅子を激しく争う。クルーは、内野航太(4年・長崎鶴洋)、外薗潤平(3年・鹿児島商)が他をリードも、控えに石井裕介(2年・邑久)、安田真世(4年・博多女子)、橋口修三(2年・長崎鶴洋)などがひしめき合っている。どちらにしても、万全の体制だ。470級・クラス4連覇・通算7回目の優勝を確信して江の島に乗り込んで来るのは間違いない。

 日経大勢5艇が参加した8月の全日本個選は、台風通過と重なり、最終日にようやくサバイバルな条件下で3本のみ実施、という極端な条件だった。エース土居艇が「1・1・1」のパーフェクトを達成したのを筆頭に、岩下艇・2位、今村艇・3位、徳重艇・5位と、上位5艇中にレギュラー3艇に余る4艇を連ね、昨年の蒲郡・全日本インカレ同様に「格の違い」を見せ付けた。

 「インカレ前哨戦」として注目された江の島オリンピックウィークでも、風が途中で大きく振れ、かつその後に極端に弱まった第4レースと、スタートからに第1マークまでに大きく振れた第5レースの変則的な2レース以外では、学生チームとしてNTクラスに絡むシーンを見せたのは彼らだけだった。

 今年も、他の学生チームとは「違うステージ」にいるような感がある。はたして、「日経大470特化軍団」に伍して戦えるチームの出現はあるのだろうか?

 ゲンの良い江の島開催に名門復活を期す日本大。武次裕太郎(4年・長崎総科大)、中村睦宏(1年・中村三陽)、植木剛史(3年・磯辺)のレギュラー・スキッパーに、井嶋清芳(1年・霞ヶ浦)がここに来て急成長。虎視眈々と出場の機会を伺う気配だ。クルーも、高木優子(4年・海津明誠)、芹澤暢孝(4年・土浦日大)、清原遼(1年・中村三陽)、芳田翔平(4年・中村三陽)と揃えるメンバーは、この春よりほぼ不動の布陣。

 不本意な成績に終った昨年の蒲郡インカレ終了直後から、「名門復活」へ向け、渡辺整市監督を筆頭に多くのOBが一丸となって強化に励んで来た。このクラスは関東インカレでは早稲田大に僅差で敗れての2位ではあったが、微〜軽風下のたったの3レースのみだった事、良い風が吹いた江の島オリンピックウィークのレースでは、中村/清原組のルーキーコンビで9位(学生チーム内では3位)と健闘したのをはじめ、総じて巻き返しが確認できたことなどから、それほど気にしなくて良いだろう。

 その日本大を関東インカレで破ってクラス優勝した早稲田大。大きな期待を背負って入学し、春先からレギュラーに起用されて来た期待の新人スキッパーが、夏になって退部(退学)してしまうという大きな痛手を負った。しかし、微・軽風に助けられた感はあるものの、その穴を2年連続関東女子インカレ・チャンプの山口祥世(2年・長崎工)が見事に埋め切った結果だ。

 市川航平(3年・早大学院)、西村元(4年・清風)という昨年来のレギュラー・スキッパーはある程度の計算が立つだろうから、エース・クルーの大矢勇輝(4年・清風)が、若い山口をいかにリードできるかがポイントとなろう。

 また、春先はスナイプに乗っていた下平悠夏(1年・逗子開成=2009年FJ級世界チャンプ・スキッパー)が、秋から470に乗り代え、出場の機会を伺う気配。残るクルーは、谷口柚香(2年・長崎工)、谷口諒介(2年・桐生)、木村耕太郎(4年・早大学院)、坂和陽介(4年・鎌倉学園)と、レギュラー争いは熾烈だ。

 水域内のライバル・関西大の欠場もあり、2位以下に歴史的大差をつけて関西インカレを圧勝した関西学院大。日本経済大と死闘を繰り広げた2年前までの「爆発力」は全く消え失せたが、笠井大樹(4年・啓明学院)、西尾駿作(2年・関学高等部)、松下結(3年・長崎工=今年度全日本女子インカレ・チャンプ)のレギュラー・スキッパー3名の間に、力の差は全くない。

 クルーは、俣江広敬(2年・関学高等部)を筆頭格に、伊川潤哉(3年・桃山学院)、溝上遣斗(3年・中村三陽)、疋田大成(1年・別府青山)、森本起代(4年・東大谷)、中川千晶(2年・長崎工)らで男女問わずに豊富。さらに、大怪我をして戦線離脱していた佐藤就(2年・中村三陽)の復帰が間に合えば、もう一段の地力アップか? 今年は特に、出ていれば間違いなく有力候補に挙げられたであろう、ライバル・関西大の分までがんばって欲しいものだ。

 近畿北陸水域を完全優勝で制した立命館大。昨年のブランクの影響が解消されているかが大きなポイントだ。遠征も少なく、漏れてくる情報が少ないのも却って不気味な存在。過去、「本命不在」とか、「混戦」と言われた年には不思議と強い。ハイスコアの混戦になるとチャンスか? しかし、余計なお世話だろうが、高校時代までの経験歴、適性、体格などに関係なく、「1~2年生はクルー、3年生からスキッパー」、という昔ながらのスタイルを頑なに踏襲する事が、もう一段のチーム力アップへの「足かせ」にはなってはいないかと感ずるのは私だけだろうか?

 水域インカレで立命館大に敗れて2位の同志社大。ここは、伝統的に誰もが認める「実戦巧者」。「弱い」と言われる年も、秋も深まる本番までには何とか仕上げ、必ず入賞圏内外には顔を出してくる。江の島オリンピックウィークでは、「インカレ的」な変則レースとなった第4、第5レース(内容前述)で、ナショナルチームを差し置いてどちらも同志社勢がトップフィニッシュして周囲を驚かせた。

 徳重樹(1年・中村三陽)/東野竜弥(3年・大阪国際大高田)組と奈良大樹(2年・別府青山)/西野裕太朗(1年・清風)組だ。流石にインカレ巧者、勝負強い面を見せたな、とも評価できるし、反面、それでも総合順位となると浮き上がってこれないのが、まだまだ「全盛期」との違いと言えば違いか? 残る、豊田華世(2年・別府青山)/立石和也(3年・高松西)組を含め、スキッパーは全員が下級生と若いチーム。

 私がオリンピックウィークで見て感心したのは、「当てたトップフィニッシュ2艇で2回」よりも、クルー全員を大学ヨット界随一とも思える長身者で揃えていた事の方だ。インカレ本番まで江の島に居残り続けるという気迫で、どこまで追い込んでくるか? 下級生中心の若いチームだけに、序盤戦の入り方が特に重要だろう。

 昨年は日経大に次ぐクラス準優勝と大健闘した慶應義塾大。今シーズンは、これまでエース・スキッパーとエース・クルー2名のキープレーヤー3名の卒業の穴を埋めきれず、関東インカレでも早稲田にダブルスコアの大差をつけられての4位と低迷した。そうは言っても、秋山玄(4年・慶應藤沢)、飯野啓太(3年・慶應義塾)のスキッパー2名とエース・クルー小川晋平(3年・慶應義塾)は、日経大に次ぐ「日本二」の残存メンバーだ。何とか奮起して、昨年の再現を期待したいところ。全日本インカレ初舞台となるスキッパー・西内翔(3年・慶應義塾)と、クルーの小野正人(3年・山手学院)、森健悟(2年・渋谷教育学園渋谷)らが、どこまで昨年の域に近づけるか?

 他では、私学勢の多い関東水域、関西水域、近畿北陸水域で、その私学勢を破って出場する横浜国大、大阪大、金沢大と、九州水域でこのクラスでは福岡大を破って2位で出場してくる九州大の国立4校の対決にも注目したい。実は、高校時代から(一部ジュニア時代より)の経験者の名前も散見でき、セレク組で固める私学勢と言えども侮れない存在だ。

まとめ
 ハッキリ言って、昨年以上に日経大とその他の差が広がった感は強い。日経大優勝の予想は簡単だが、2、3番艇へのスキッパー起用が誰になるのかを予想するほうは難しい、と言ったら「趣旨」違反か?

 複数艇が一挙に「英語」を叩くなど、余程の大きなアクシデントでもない限り、「クラス4連覇」は固いだろう。

 当然に焦点は2位争いとなるが、関東勢同士の比較では、日大を早稲田より上位にとった。他の水域勢では関学大が有力とみて4番手評価。しかし、2番手〜4番手の差はないと言って良いほど少ない。

 以下、これもあまり差はなく昨年2位の慶應義塾、インカレ巧者の同志社、「部員13名」と少人数ながら関東インカレ3位とがんばった中央、「スナイプ落選」で470級に集中できる法政、そして復活した立命館の順に評価した。

◎・・・・・・・日本経済大
〇・・・・・・・日本大
△・・・・・・・早稲田大
△・・・・・・・関西学院大
△・・・・・・・慶應義塾大
△・・・・・・・同志社大
△・・・・・・・中央大
△・・・・・・・法政大
△・・・・・・・立命館大
注目・・・・・大阪大、九州大、金沢大、横国大の国立勢内の争い

※なお、恒例により、「2011年・展望特別版 」を希望者にのみ配信する。希望者は、件名に特別版希望と記入し、本文欄に何かしらのコメントを添えて(件名・本文欄が空欄だとSPAMと判断されて届かないので)QZT00265★nifty.ne.jp(★マークを@に替えて)に、10月末日までメールにて要求の事。折り返し、11月2日に「2011年展望特別版」を配信する。

江の島全日本インカレ展望と解説(1)プレビュー

毎週木曜コラム更新:サンケイビジネスアイ
フェイスブック:BULKHEAD magazine
ツイッター:BULKHEADER
======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ネオネットマリン
ダウンアンダーセイリングジャパン
ノースセールジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
SWING
コスモマリン
葉山セーリングカレッジ
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
VELOCITEK
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
エイ・シー・ティー
プラネット・グリーン
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ
シエスタ
posted by BULKHEAD at 07:22| Comment(0) | インカレ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。