2011年10月29日

全日本インカレ展望(3)

2011年全日本インカレ展望と解説・スナイプ級

 このクラスを2連覇中の早稲田大は、春先からいきなりレギュラー・スキッパーに抜擢されたルーキーの成績が安定せず、シーズン当初から苦戦が続いた。関東インカレでは、その三番艇のスキッパーに前島雄太(4年・早大学院)が起用され、陸に上がってから日大の逆転を許したものの、なんとか3艇が着順を無難にまとめてフィニッシュするという、昨年までの「早稲田らしい」戦い振りが久々に復活したのは明るい材料だ。(文/外道無量院)

 クラス2連覇の生え抜きメンバー・加藤文弥(3年・海津明誠)、今シーズンに470級からコンバートされた横田敏一(4年・中村三陽)の1、2番艇スキッパー陣は計算が立つだろうから、井阪智(4年・早大学院)、小林誠(4年・関東国際)というクラス2連覇を経験してきたクルーが、上手く経験の少ない3番艇をリードして走らせられるかに浮沈が掛かる。

 その早稲田を関東インカレで破って優勝した日本大。小又友和(4年・霞ヶ浦)/稲垣奈巳(4年・海津明誠=今年度全日本女子インカレ・チャンプ)組を中心に、堀内宣栄(4年・吉田)/塩谷涼(1年・高松工芸)組、安藤嶺(3年・別府青山)/小野新(4年・土浦日大)組で戦った。微風〜軽風下のみの3レースだけであったが、西宮敬宏(3年・霞ヶ浦)を小又艇のクルーに起用して、稲垣をスキッパーで使うオプションもあるだろう。また、吹けば、早稲田との差はより開いた感もある。「陸に上がってからの逆転」も、結果的には順当に収まったものなのかも知れない。

 一度も開催地の蒲郡に姿を見せなかった昨年とは異なり、今年は東日本スナイプ、関東470フリートのレースや直前のオリンピックウィークという江の島でのレースに積極的に遠征し、関東勢他と手合わせしてきた関西学院大。エースで主将の西尾将志(4年・関学高等部)、小栗康弘(2年・中村三陽)という昨年来のレギュラー・スキッパーに加え、3番艇の若竹翔平(3年・別府青山)の成長・安定振りがチーム力向上に大きく貢献している。

 クルーは、経験豊富な辻川亮太(4年・中村三陽)を筆頭に、スキッパーも出来る多田鉄平(4年・尼崎北)、岩見翔太(4年・伊川谷北)、太田亮(3年・赤穂)、山本千紗(3年・追手門学院)、末繁まゆ(2年・別府青山)ら、豊富な部員の中から「風域対応」で起用出来そうなのも強みか。

 昨年から度重なる江の島遠征をしつこいまでに続けて来た同志社大。「学生No.1」の呼び声高い西村秀樹(3年・中村三陽)は、不動のエース・スキッパーに成長。2番艇のスキッパー・辰巳慶斗(4年・履正社)は、大学入学後の2年生から入部してヨットを始めたにもかかわらず、1年後の昨年インカレからは堂々と名門・同志社のレギュラー・スキッパーの座を占め続ける。江の島オリンピックウィークでは、荒川淳一(3年・吉良)をクルーに乗せ、並み居る社会人強豪選手を尻目にトップフィニッシュ(PTPはご愛嬌か?)を含んで、同僚の西村秀樹(前出)/柳林俊(2年・洛南)組を退けて学生チームではトップの4位と健闘した。

 さらに、3番艇スキッパーの垣野正人(1年・清風)が急激に力を付けていることからも、ここに来て急上昇の要注意チームだ。インカレ翌週に同じく江の島で行われる全日本スナイプまで現地に居続けるという。1ヶ月近い長期滞在の選択が、「吉」と出るか「凶」と出るか?

 日大や同志社と同様に、「名門復活」へ向けて懸命の努力が続けられる福岡大。今年は、サバイバル3レースのみとなった蒲郡・全日本個選で、九冨正規(4年・高松工芸)/牟田知洋(4年・唐津西)組が2位、丸子喬央(3年・大分鶴崎)/筌瀬省吾(2年・福岡舞鶴)組が5位と非常によく走った。残る江藤健太(3年・嘉穂)/長野太一(4年・熊本北)組(全個は21位)のがんばり次第では、久々に熱狂的なOB諸兄を大いに喜ばせる結果をもたらすかも知れない。

 個選の条件があまりに極端だった事から、スグに「優勝候補筆頭」、とはできなかったものの、久々に期待は大きい。「吹けば速い」のは証明済みだ。強風シリーズとなれば、一気に主役に躍り出る可能性は高い。あとは、良い風が吹き続けることを祈るのみ。

 2008年にクラス初優勝を飾った鹿屋体大。9月のサバイバルな全個では、2番艇の鈴木章央(2年・碧南)/久保風太(2年・鎌倉学園)組が優勝して周囲を驚かせた。エース艇の進貴裕(4年・中村三陽)/平野真未(1年・邑久)組も4位と大健闘。残る岡美江(4年・啓明学院)/浜尾英明希(3年・岡山理大付))組は同じく17位だが、それでも女子スキッパーとしてはトップ。ここも、強風シリーズともなれば、一気に優勝戦線に加わってきそうだ。

 昨年のシーズン後半は姿を見ることができなかった立命館大。完全優勝した近北インカレのスコアでは、470級以上にスナイプ級の安定したスコアが目立った。全日本女子インカレで9月に女子チームが葉山に来たくらいで、江の島には全く誰も姿を現さなかった事がどうでるかが微妙だが、曽和慎也(4年・中村三陽)、中武唯(4年・博多女子)、柳沢慎太郎(3年・逗子開成)と揃える3名のスキッパーは、力的に関東勢や関西学院大、同志社大に引けを取っているとは思えない。ブランクを克服し、混戦に強い伝統が生きていれば上位進出も可能だ。

 2年連続での「関東インカレ4位」は非常に立派な横浜国大。その原動力となったエース艇・高曽陽平(4年・逗子開成)/長橋裕明(4年・函館ラ・サール)組、2番艇・高橋周大(4年・国学院久我山)/丑澤拓夢(4年・江戸川学園取手)組は、全国レベルの上位校にも引けを取らず、課題の3番艇がどこまでがんばれるかが大きなポイント。1・2番艇が実力どおりに走り、さらに3番艇ががんばれば、昨年の「金沢大6位入賞」を上回る結果を出せる可能性は充分にある。その健闘に注目したい。

 「ノリ」の良い甲南大にも注目だ。関西インカレでは、関西学院大に次ぐ2位とはいえ、大差をつけられた。しかし、ここ数年、部として盛り上がりを見せ、徐々にではあるが結果も向上してきている。ここは、同志社同様に、しかも、状態ではかなり上回る「ピアソン艇」を揃えている。ハード的には既に「全国一」を達成済みか? 9月の全日本女子インカレでは、直前週の関西インカレでの激闘の疲れもあったか、本来の力が出せなかったが、それでもようやく疲れも癒えた最終日にエース格の善本万里子(3年/高松商・今年度関西女子インカレ・チャンプ・スキッパー)が、「1・1」と爆走して総合3位とジャンプアップしたのが印象的であった。

まとめ
 かなりの混戦。各チーム、(1) 得意な風域・コンディションでどれだけ多くレースが行われるか、(2) インカレ特有の「運・不運が左右するレース」で「運」をつかめるか、(3) 強風下での艇トラブルや、微・軽風下でのケース、などの要因で、順位が大きく変動する可能性がある。予想としては、同志社、日大、そして関学の3チームが他を僅かにリード、と結論した。

 同志社は、自らのみが持つ「総合4連覇」に並ぼうとする早稲田の総合優勝を阻止するため、このスナイプで大差をつけておきたいところだろう。加えて、オリンピックウィーク開始前から、全日本スナイプ終了までの1カ月近い長期滞在が、逆に裏目に出る危険はあるのだが、その意気込みを買って本命に評価。同志社が自力で早稲田の4連覇を阻止しようとするなら、スナイプでのクラス優勝が必要条件か?

 対抗は、関西学院、そして単穴(本命・対抗をまとめて負かせる3番手)を日大とした。しかし、その差は極くわずか。その「3強」を追う早稲田、立命館、福岡、鹿屋体という展開を予想する。

 「総合4連覇」が大目標の早稲田にとって、現実的にはかなり難しそうな「クラス3連覇」は譲っても、スコアでは大きくは負けられないところだ。順位よりも手堅く得点差重視の戦いをしてくるだろう。一方で、「名門復活」を標榜している日大は、縁起の良い地元開催に乗じ、スナイプで優勝できれば、総合にもつながりそうで、一挙に「優勝旗2本」と、がんばりたいところか?

 関東インカレ3、4位の中央と横浜国、そして関西インカレ2位の甲南は、全日本の舞台でどこまで健闘できるかに注目したい。

◎・・・・・・・・同志社大
〇・・・・・・・・関西学院大
▲・・・・・・・・日本大
△・・・・・・・・早稲田大
△・・・・・・・・福岡大
△・・・・・・・・立命館大
△・・・・・・・・鹿屋体大
注目・・・・・・中央大、横浜国大、甲南大

※なお、恒例により、「2011年・展望特別版 」を希望者にのみ配信する。希望者は、件名に特別版希望と記入し、本文欄に何かしらのコメントを添えて(件名・本文欄が空欄だとSPAMと判断されて届かないので)QZT00265★nifty.ne.jp(★マークを@に替えて)に、10月末日までメールにて要求の事。折り返し、11月2日に「2011年展望特別版」を配信する。

江の島全日本インカレ展望と解説(1)プレビュー
江の島全日本インカレ展望と解説(2)470級

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posted by BULKHEAD at 13:00| Comment(0) | インカレ
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