2011年11月07日

全日本インカレ新時代到来

 11月6日、全日本インカレ最終日。夜から降りだした雨が残り、海上は濃霧に包まれている江の島沖は、風弱く、視界の悪いコンディションです。最終日のレースは午前中のみ。逆転を狙う選手たちのはやる気持ちは抑えきれません。その気持ちを察してか、レース委員会は陸上待機もそこそこに霧のなかを出艇させました。(BHM編集部)

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霧で霞む江の島ヨットハーバーを出艇する参加艇。photo by Junichi Hirai

 前日までの成績では日本大が有利。これまでのレースを見ていると、日本大スナイプチームは上位安定です。470級は、前日にペナルティーターンの解消方法でプロテストを受けて1艇が失格し、2位に後退しましたが、チーム全体に勢いを感じます。しかし、総合2位の関西学院大との差は121点。また、早稲田大、慶應大も大逆転を狙っています。

 レースは、11時前にそよそよと吹き出した北東風ではじまりました。時間的にこれが最終レース。ここで、インカレのドラマが待っていました。

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最終レースは微風。ブローを見る目、コース選択がポイントになりました。photo by Junichi Hirai

 日本大スナイプ3艇が、アップウインドで不利な右海面に向かい全チームが頓死状態に。また470級も中位置に低迷。反対に見事に微風を走りきったのが、関西学院大です。470級ではリーダー艇の笠井/股江が4位でポイントを稼ぎ、スナイプ級は2、3位と連続。第1上マークの回航順位の段階では、関西学院大が総合を逆転していましたが、最終結果はわからず。また、審問もあり、総合優勝はどちらの大学が手にするのか、まったくわからなくなりました。

 レースを終えて帰港後、審問がおこなわれ、正式な成績が発表されました。470級優勝は関西学院大、スナイプ級は日本大学、総合優勝は19点差で日本大学が獲得しました。日本大の総合優勝は2006年福岡小戸大会以来5年ぶりとなります。

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総合、スナイプ級優勝の日本大。photo by K.Nakajima

「最終レースの失敗は、正直に言ってあせりましたが、少しでもあげていかないと、と考えて走らせました。前日のミーティングでは特別なことは話していません。「目立ったレースはいらない。日大のセオリーで20番以内に得点を抑えよう」といつも通りのことを言いました。今年は江の島という土地柄、練習する機会の多い日大は有利だったと思います。それに、全日本女子のスナイプ優勝(稲垣/古屋)で勢いがつき、関東インカレ優勝、江の島オリンピックウィーク出場という流れもよかった。OBの方々の協力も大きかったです。今年のチームの特長は全員の意見を取り入れたこと。1年生の意見も吸い上げて、わかっているようなことでも全員で再確認しながら活動してきました」(小又友和・4年主将)

 名門校の復活です。今年は、渡辺整市監督のもとチーム首脳陣の強化策が光りました。新入生の大量獲得をおこない、社会人チームで活躍するトップセーラーとの合同練習やテクニカルサポートもおこないました。日本大の総合優勝は今回で11度目となります。

 470級の本命と言われていた日本経済大は、初日の失格でペースを崩して自滅し、関西学院大が王座を奪還。4連覇を目指した早稲田大は、最終日に見事な追い上げを見せましたが時すでに遅し。全日本インカレ新時代を予感させる江の島大会となりました。

 全6レースが微軽風戦となった全日本インカレ。このコンディションを予想するのはむずかしかったでしょう。次回はどの大学が頭角をあらわすのでしょうか。来年の全日本インカレは琵琶湖で開催されます。

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470級優勝、総合準優勝の関西学院大。「全員が笑顔でインカレを終えるのが目標でした。それに絶対にあきらめないこと。470チームは英語(失格)を叩かないセオリーを守れたのが勝因です。大きなミスもなく、いいレースができました」(笠井470リーダー)

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 最後に。

 最終レースが終わり、各校が船の積み込みや後片付けをしている時、ハーバーでひとりの女子選手を見かけました。関西大の4年生です。現在、関西大は夏におきた部内の不祥事により謹慎しています。不祥事の内容は上級生が下級生を殴り、怪我をさせてしまったこと。関西水域予選にも出場せず、全日本インカレには出場していません。

 「本当は最後のインカレになるはずだったから、プライベートで見に来ました。みんなにあいさつもしたかったし。いまは、部活動ではぜんぜん海に出ていません」。ヨット部最大級の関西大は全日本優勝に絡む強豪校です。来年、卒業してしまう彼女は最後のインカレで戦いたかっただろうし、勝ちたかったことでしょう。出場していたら…と何度もシミュレーションしたはずです。現在、関西大ヨット部は今後の活動に関して大学からの判断を待っている状態です。

 「じゃ、部員のみんなは普段何をしているの? 辞めた人もいる?」と聞くと、「いえ、ひとりも辞めていません。セーリングはできないけれど、室内で筋トレ。ミーティングも頻繁にしているから、部員同士はよく集まっています。いつでも活動を再開できるように準備してます。いまは、大学の判断を待っている状態ですが、部員の気持ちが離れているわけではありません。帰ったら幹部交代です!」と答えてくれました。

 昨年は立命館大が部内不祥事により、活動が一時休止されました。立命館大は今年から活動復帰。全日本インカレでは、元気な姿をみせてくれました。団体で共同生活をしながら活動することの多いヨット部は、体育会気質のクラブ活動です。上下関係にきびしい部分もありますが、これは海という自然環境で活動するゆえ、統率が取れることが安全にもつながる良い一面でもあります。しかし、行き過ぎる面があることは否定できません。

 関西大のいない全日本インカレはさびしかった。なるべく早い活動復帰を願います。

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昭和8年(1933年)から続く全日本インカレ。2012年優勝旗を掛けた戦いは、すでにはじまっています。photo by Junichi Hirai

◎第76回全日本学生ヨット選手権 特設サイト
http://alljapancollegesailing.com/

◎バルクヘッドマガジン記事
大会初日 ノーレース全日本インカレ
2日目 軽風江の島、日本大首位に
3日目 軽風江の島、明日最終決戦
最終日 日大優勝インカレ成績速報

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posted by BULKHEAD at 07:09| Comment(1) | インカレ
この記事へのコメント
関西水域の加盟校を中心とし、全水域のヨット部の総力を挙げて、関西大ヨット部再興を大学当局に訴えるべきである。
ヨットマンとして、また、スポーツマンとして望む。
合掌
Posted by 外道無量院 at 2011年11月07日 09:03
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