2011年04月09日

イギリスコーチ研修終了

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド・最終回
『イギリス研修終了』

文・写真/中村健一


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1年間のイギリス・コーチ研修が終了しました。最後は、クラブの仲間がさよならパーティーがひらいてくれました

3月30日
 ここプラスメナイ(Plas Menai)での約1年間の研修も今日で終了しました。英語学校に通えず、まともに英語も喋れず、YesYesYes、NoNoNoの繰り返しの日々でしたが、少しづつ環境にも慣れ、単語を並べての会話ですが、なんとかコミュニケーションもとれるようになり、クラブのスタッフとして働かせていただきました。

 また、GBRジュニア・ユースの合宿やレガッタにも積極的に参加させてもらい、本当に充実した1年間を過ごさせていただきました。

 プラスメナイのスタッフは本当に良い人ばかりで、いろんな場面で助けていただくと共に、会話も彼らに教わりながら生徒に指導していくという繰り返しで、ある意味スタッフが英語の先生という感じでした。彼らには本当に感謝しています。

 これまで沢山のレポートをブログでアップしてきましたが、本当にウォータースポーツが盛んな国です。8千を超えるクラブの数にも驚きましたが、それだけの雇用もあるということは本当にありがたいことですよね。

 ひと言で「文化の違い」だけで片付けず、学べる所は大いに学び吸収し、より良いセーリング環境を構築していくことができれば、まだまだセーリング競技人口も増加し活発になって来ることでしょう。

 私がセーリング競技に貢献できることは、本当に小さい物かもしれませんが、これからもセーリング競技発展のために、選手・コーチ・情報発信共にがんばっていきたいと思っています。

 GBR編は終了しますが、新たなステージのスタートでもあります。これからもがんばります。

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 最終日の今日は、プラスメナイのスタッフ全員で「1年間お疲れさんパーティー」を開いていただきました。私の方が本当にお世話になったにもかかわらず、クラブシェフがをこの日のために、わざわざ日本食レシピを入手し日本食を作ってくれました。アランさんをはじめスタッフの皆さん、1年間ありがとうございました。

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※バルクヘッドマガジンの「ケンイチ通信──FROM イングランド」は、これにて一旦終了いたします。ケンイチは日本に戻ってきて、ユースやジュニアの育成に力を注いでいくとのこと。今後の活躍にご期待ください。BHMは、これからもあたらしいカタチのケンイチ通信をお伝えできればと考えています。おつかれさまでした!(BHM編集部)

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2011年04月01日

ロンドンディンギーショー



連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『第60回ディンギーショーを見学して』


3月7日
 3月5、6日に開催されたイギリス・ロンドンのディンギーショー(RYA VOLVO 60th Dinghy Show)に、プラスメナイ・ナショナルウォータースポーツセンターのブースを出すため、一緒に同行させてもらいました。

 私のイメージでは、「ディンギーだけの展示でどれだけの人が来るのだろう?」と、少し不安に思っていましたが、とんでもない。オープンと同時にたくさんの人、人、人で会場は埋め尽くされ、あっという間にわたしたちのブースにもたくさんの人が訪れ、大忙しとなりました。

 ある程度落ち着いてきたので会場内を探索しましたが、この会場は非常に広く、おおよそ100艇のディンギーが所狭しと展示されていました。

 まず、こんなにたくさんのディンギーがある事に驚いたのと同時に、オリンピックボート以外の艇に多くのお客さんが群がっている光景を見ると、イギリスセーリングの長い歴史を感じました。

 また、オリンピックメダリストが日替わりで会場内を歩き回り、お客さんとのコミュニケーションを図っていたのも印象的でした。

 あっという間の2日間でしたが、アランさんの紹介で、メダリストやRYA関係者と話が出来、とても有意義に過ごせました。

 ショーが終わると同時に車にかたずけ、ロンドンからプラスメナイに着いたのは朝の2時。ある意味、弾丸ツアー並みの遠征でした。

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 ディンギーショーで「ハイクアウトベンチ」こと、ハイクアウトトレーニング用のグッズがありました。若いころは、陸上でもでハイクアウトトレーニングができるように、自宅で木材を使って作成し、トレーニングしていたのを思い出しました。

 こういった商品が普通にあることもかなりマニアックですが、セーラーにとってはありがたいアイテムになる人もいることでしょう。

 また、トップセーラーのハイクアウトポーズを簡単に陸上で再現できるグッズでもあり、若い選手たちに間近で見てもらい、教育できるアイテムにもなります。用途はいくらでもありそうな良いグッズですね。

 自宅でひそかに闇練もカッコいいですね。こういうグッズが日本にも流行ってくれば面白そうです。

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2011年03月28日

英ジュニアを分析する5

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『イギリス・ジュニアセーリングを分析する。その5』


3月5日
 ここでは、ジュニアからユースへ変わる年齢が対象で、U16(U17:RS:X)のグループの艇種乗り換えトレーニングゾーンとなっています。まずはユースに指定されている艇の紹介をしましょう。
11.03.28_03.jpg
参考:
英ジュニアを分析する1
英ジュニアを分析する2
英ジュニアを分析する3
英ジュニアを分析する4

1. 420
全英選手権平均参加艇数 約69艇 合計体重幅:85〜110kg
 このクラスに乗り換える選手の多くは、ジュニア期にダブルハンドを乗っていたチームが多いようです。昨年、420級の世界チャンピオンになったA. VOSE / M. BRICKWOODチームのスキッパーは、OP級から乗り換えたようです。世界的にもトップの地位を築いているクラスで、国内予選は非常にレベルの高い戦いとなっています。
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ISAFユースワールドで採用される420級。photo Dave Kneale/Volvo Ocean Race

2. 29er
全英選手権平均参加艇数 約55艇 合計体重幅:120〜130kg
 ハイパフォーマンスディンギーの最初の艇で、ジュニア期にRSフィーバに乗っていた選手が多く、好んで乗り換えているようです。420クラスよりも合計体重幅があり、大型選手に適したクラスとなっています。レベルも世界トップクラスで、常に上位を占めています。彼らの先に見えているのは、49erのオリンピック選手なのでしょうね。

3. レーザーラジアル
全英選手権平均参加艇数 約141艇 体重幅:60〜72kg
 男女共にラジアルクラスに進んで行くのではなく、適正体重を超えた選手などは、レーザークラスに乗り換えているようです。このクラスは非常にレベルが高く、競争率が一番激しいのではないでしょうか? コーチ陣も世界で活躍した人ばかりで、非常にハイレベルなコーチングがおこなわれています。また、男子の中で常に鍛えられている女子も相当タフな選手ばかりです。

4. RS:X 8.5
全英選手権平均参加艇数 約18艇 体重幅:55kg〜
 ジュニア期の平均参加定数が110艇あったものが、いきなり18艇と急激に減っているのには驚きです。それだけこの艇種が、大変過酷なクラスであることを示していると思います。修羅場のような戦いの中から勝ち残った選手は、将来メダリストが出ること間違いなしでしょう。イギリスには、ウインドサーフィンフリースタイルのプロ選手が多くいますが、そちらにも選手が流れているようです。

----------------------------------
 基本的には上記4艇種が、乗り換え艇種として指定されていますが、体格や特殊艇種の関係で、下記レーザー、スピットファイアの2クラスも特別枠で対応されています。

1. レーザー
全英選手権平均参加艇数 約80艇 体重幅:72〜83kg
 ラジアルクラスに体重が適していない選手は、このクラスから始まります。このクラスはオリンピック種目なので、いきなりメダルを目指す選手たちと戦わなければいけない過酷な状況です。しかし、次々に若手の選手が現れ、メダリストである選手たちも脅かす走りを見せています。この刺激がお互いを、奮い立たせ更なるレベルアップに貢献しているのでしょう。そういった化学反応もGBRの狙いなのでしょうね。

2. スピットファイア
全英選手権平均参加艇数 約26艇 体重幅:95〜150kg
 このクラスはジュニア期にドラグーン(ホビーキャット)に乗っていた選手の多くがこのクラスに乗り換えているようです。それにしても、この大きさで26艇のレースは迫力あるでしょうね。一度見てみたいものです。
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カタマランのスピットファイア級

 ここでも、このゾーンに入るためのオープン参加の合宿が2カ月間で週末6回行われ、8カ月(月4回)の合宿と、数回にわたる選考レースで、その年のユースナショナルチームが決まります。

 これまでジュニアでナショナルチームに入っていなくても、ここでの選考に勝ち残れば、新たに強化メンバーとして迎え入れてもらえるため、各クラス非常に艇の参加が多く、毎年激しい選考になっています。

 各クラスのトップ18に選ばれれば、ユース強化選手として集中して強化を図っていきます。基本的には各クラスのヘッドコーチを筆頭に強化が行われます。

 以前お伝えしましたが、420級の世界チャンピオンになったA. VOSE / M. BRICKWOODチームは、ちょうど1つ前のゾーンからこのゾーンに入ったばかりの選手で、短期間の練習で世界チャンピオンになったことになります。

 それを考えると、いかに効率よく選手が育っているかがうかがえると思います。このゾーンではRYAが補助し、選手参加料は£60/8400円となっています。このゾーンで勝ち残っていく選手は本当にレベルの高いセーリング技術を持っています。

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2011年03月24日

英ジュニアを分析する4

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『イギリス・ジュニアセーリングを分析する。その4』


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3月3日
 ここでは、ピラミッドの下から3番目、RYA National Junior Squadsを紹介します。対象年齢12〜15歳、おおよそ全クラス合わせて200選手の強化が行われています。

参考:
英ジュニアを分析する1
英ジュニアを分析する2
英ジュニアを分析する3

11.03.24_01.jpg

 全7クラス、国内選考レースでトップ30に入った選手は、このゾーンに入ることができます。注:クラスの定数に合わせて上位の線引きが行われます。

 ここではジュニアのナショナルチームとして、月に2回、RYAが指定した場所でに選手が招待され、クラスヘッドコーチを筆頭にトップコーチが集結し、ハイレベルな合宿が行われます。また、30〜60位の選手も月に1回の招待強化合宿が行われます。

 RYAの補助が増え、1選手あたりの参加料も£60/8400円に軽減され、またハイレベルな選手の中での練習とハイレベルな指導を受けれるため、選手も親もこのゾーンに入るために本当にがんばっています。

11.03.24_02.jpg
 このゾーンに入った選手には、その年のナショナルチームワッペンが配られ、ライフジャケットの後ろに縫いつけるように義務付けられています。

 コーチボートからみると、誰がナショナルチームに入っているか、一目でわかるようになっているのもいいし、コストもそんなにかからず良い考えだと思いました。

 選手たちはこのワッペンを、勲章でももらったかのように見せつけてきます。やはり、子供たちのあこがれのゾーンなのでしょう。

 このレベルになると、管理していく9項目それぞれの資料がたくさん配布されており、RYAから支給されたファイルも、パンパンになっていました。

1. フィジカル
2. メンタル
3. 艤装
4. 計画立案とコミュニケーション
5. タクティクス&ストラテジー
6. ボートハンドリング
7. 気象と潮
8. ライフスタイル
9. ルール

 多くの資料を配布できる引き出しの多さにも驚きました。

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2011年03月20日

英ジュニアを分析する3

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『イギリス・ジュニアセーリングを分析する。その3』


11.03.20_01.jpg
3月1日
 これまで、2回の紹介でピラミッドの一番上と一番下を紹介しましたが、もう少し分かりやすく説明できるようにしてみました。
参考:英ジュニアを分析する1
参考:英ジュニアを分析する2

 イギリスジュニアシステムの各段階には、それぞれクラス、年令、スキルアップ項目の指定が定められています。すべてのプログラムを終了するのに、10年かかる仕組みになっていますが、もちろん才能ある選手は、早い段階で上に昇格できるので、もう少し早く到達する選手もいることと思います。

11.03.20_02.jpg
 まず以前紹介した「その1」では、全クラスで選手10,000人が在籍していて、セーリングを始めて間もない選手たちのためのイベントや、新人戦のような大会開催にVolvo(ボルボ社)、RYA(Royal Yachting Association。イギリスのナショナルオーソリティ)といったスポンサーが資金援助して大会を維持しています。

 このゾーンでは、楽しいセーリング環境を過ごしていくために、親とともに9項目の管理を選手(子供)と一緒に行っていかなければなりません。

◎管理していく項目
1. フィジカル
2. メンタル
3. 艤装
4. 計画立案とコミュニケーション
5. タクティクス&ストラテジー
6. ボートハンドリング
7. 気象と潮
8. ライフスタイル
9. ルール

 この9項目にもレベルが設けられ、それぞれの段階で目標をクリアしていかなければなりません。最初のゾーンでは、それぞれの項目紹介や、これから始めて行かなければならない事を親と一緒に学んでいきます。このゾーンでの開始年齢は6歳からで、イギリスではなるべく早い段階でセーリングを始める事を推奨しています。

11.03.20_03.jpg
 次のゾーンでは、9〜14歳が対象で、イギリス国内を5つに分けて各地で強化を行います。

1. North
2. Midlands
3. Wales
4. South East
5. South West

 このゾーンでは550選手が強化対象となります。例をあげると、ここWeles(ウェールズ)はWYA(ウェールズヨット協会)の管轄で、ウェールズの中にも北部、南部に分かれていて、この2つの地域の選手の中で上位18位までに入っている選手を対象にWYAが毎月1回、上位選手を集めて強化合宿を行っています。

 毎月1回といっても、8クラス全クラスを毎月1回行うとなれば、本当に大変です。

 そこで、各クラスにヘッドコーチを設けており、このヘッドコーチは国中を指導してまわりますが、その他のコーチは地元の、ここであればWYAのコーチ陣が対応し、ヘッドコーチを中心に強化合宿が行われます。

 ここでも管理していく項目は当然のように実行され、しっかりと全体のレベルアップが図られています。移動にかかる経費は、RYAとWYA、選手の参加料(£200/約28,000円)で対応しています。

 以上の事を考えると、国中いたるところで強化が行われていることが分かりますね。ここまでが、だいたい「その1」で取り上げた細かい内容になると思います。

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2011年03月09日

WYAトッパー合宿・2日目

11.03.09_02.jpg
ウェールズヨット協会(WYA)のトッパー強化合宿最終日。18名の選手が参加しました

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『WYA トッパ−強化合宿2日目』

文・写真/中村健一

2月23日
 2日目の日曜日は、参加選手が6名増えて18名の練習になりました。昨日の宿題であった気象調査は全員完璧で、日ごろからインターネットを使って調査しているだけに、色々なサイトからたくさんの情報を持ってきていました。

 セーリングを始める前に、まずは、その日の気象・潮を、簡単なミーティングを行って再確認します。選手個人が考えてセーリングしていく環境ができているように感じました。

 レース練習の中で、「なぜ風が右に振れたのか、なぜ左が伸びたのか、なぜ抜かれたのか」、それぞれ必ず原因がありますが、これを選手自身が自分で得た「情報」を元に考えます。それでも分からなかった所や、選手が気付けなかったポイントに関してコーチとコミュニケーションをとると言った感じで、「選手をいかに伸ばして行くのか」という課題に対して、長い歴史の中で、こういったシステムを作り上げてきたのだろうと、非常に感心しました。

 簡単なようでできていないこの「気象調査」を、セーリングを始める前に必ず行う環境を作ってあげるだけで、選手の考える力と、想像力は大きく向上していくと思います。

 すぐには成果は出ないかもしれませんが、継続は力です。コーチと選手が同じ思考の中で練習に臨んでいくことは非常に大切なことだと、改めて思い知らされました。

11.03.09_04.jpg
出艇前に気象についてミーティングします

 さて、練習のほうですが、スタート練習を主に行う中で、ハンター&ホバーリングというゲーム形式で、たくさんのスタート練習を行いました。この練習は非常に実践練習に近い練習であると同時に、選手はゲーム形式なので楽しみながらレベルアップしていける非常に効率の良い練習で、かなり参考になりました。これは話が長くなるので、改めて取り上げて行こうと思います。

 スタート練習後は、長いコースのトラベゾイドで5レース行い、少し早目の午後4時に練習は終了しました。本日はトップ30に在籍している選手が7名で、昨日よりも楽しくレースを観戦することができました。また、5名のコーチ体制で、レース終了ごとにコーチボートに群がる選手たち。本当に積極的に「なぜ!なぜ!」を繰り返していました。

 たくさんの合宿に参加してきましたが、「日本のジュニアセーラーは負けてないぞ!」と私は強く感じました。が、イギリスをまねするわけではありませんが、強くなるために必要な習慣がセーリングをするだけに偏らず、気象調査やルールの勉強なども時間を取って同時進行で指導していくことが、最後に勝つ強い選手になるように思えました。特に若い選手たちは、柔軟な考えを持っているので、習慣化できれば将来が楽しみになることと思います。

 若い選手だけでは考えていけないと思いますが、われわれ指導者がしっかりこういったことを考え実行できるかが、非常に大切だと感じました。

 そのためには、たくさんの情報が必要となります。Strategist−JAPANは少しでも多くの情報を発信できるよう、がんばっていきたいと思います。

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この日は選手の一人が誕生日でした。13歳になったようです

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2011年03月06日

WYAトッパー合宿・初日

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『WYA トッパ−強化合宿初日』

文・写真・映像/中村健一

2月20日
 今年は休日返上で、たくさんの合宿に参加させてもらっています。今回はトッパ−級のWYAウェールズヨット協会)強化合宿に参加しました。少し前に「イギリスジュニアセーリングを分析する その1」で紹介しましたが、おさらいの意味で少し説明しようと思います。

11.03.06_01.jpg
トッパー級
全英選手権平均参加艇数 約310艇
体重幅:47〜63kg
 イギリス国内では非常に多い艇種のひとつで、シングルハンドを始める一番最初の艇種となっています。適応体重も47〜63キロと、大柄な選手でも活動しやすい艇種です。会員数を聞いたところ、約800人いるそうです。ジュニアの全種目を合わせると、いったいどれだけのセーラーがいるの? と聞きたくなる数ですよね。

 今回の参加者は、選手12名(12〜16歳)とコーチ2名+私で2日間の合宿を行いました。土日を利用して合宿しましたが、金曜日の夜8時30分に集合し、土曜日に行う海面の調査や、気象、潮、風向等を気象データやマップを使って、レース前に行っているような細かい話し合いを1時間行った後、解散となりました。

11.03.06_02.jpg
金曜日の夜7時〜8時にかけて、トレーラーを引いてウェールズ内の選手が集まってきました。親は本当に大変ですね。お疲れさまです

 土曜日の朝のミーティングでは、金曜日のおさらいと、再度気象の確認を行った後、レース練習。レースはソーセージコース、ゲートマークコース、トラべゾイドコースと2レースごとにコースを変化させて行いました。12名の選手の中でトップ30に入っている選手がWYAには5名いるため、非常にハイレベルなレースしていました。


 上マーク回航を見ても分かりますが、まさに見本となるような、本当にきれいな回航動作をしています(トップ1、2位の選手参照)。これはシングルの選手は必見です。ぜひ参考にしてください。

1.回航前にバング、カニンガム、を緩める。
2.回航直前にセンターボードを少し上げてメインシートを持ったまま大きく右腕を上げる。★回航中にメインセールがスムーズに出て行くので、艇速が落ちない。センターは風域に合わせて上げるか上げないかを決める。
3.右手を上げたまま、フルハイクでリーヘルム(逆ヒール)をかけながら、舵をきって行く。
4.艇が適正アングルに回りきるまではメインシートを出しながら調整する。
5.アングルが決まった地点でベストな体制になっていること。


 午後もレースを振り返りながら、各選手のレースの組み立て方についてのばらつきを修正し、レースエリアを移動させて、陸のベンド風が入るポジションに上マークを設置するなど、手の込んだ事を行いながら、3つのコースを変えながらコース練習を行いました。トップ30位の選手は変化に素早く気づくものの、30位以下の選手たちはかなり苦戦していました。

11.03.06_03.jpg
 この日は14レースを行い、練習後にビデオを見ながらスタートや、回航、タクティクスなどの反省をそれぞれ行い、この日は終了となりました。

 選手たちの日曜日の朝までの課題は、もちろん気象の調査です。

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2011年03月01日

英ジュニアを分析する2

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『イギリス・ジュニアセーリングを分析する。その2』


2月19日
 イギリスジュニアシステムを分析するに当たり、このシステムで育ってきたピラミッドの頂点であるトップ選手たちが、どのような活躍をしているのか、北京オリンピックの成績をみてイギリスのセーリングを把握していきましょう。

11.03.01_02.jpg
北京オリンピック・イギリスチーム

◎北京オリンピック イギリスチーム
金メダル 4個
 イングリング Sarah Ayton,Sarah Webb,Pippa Wilson
 フィン Ben Ainslie
 レーザー  Paul Goodison
 スター Iain Percy,Andrew ‘Bart’ Simpson
銀メダル 1個
 470男子 Nick Rogers,Joe Glanfield’s
銅メダル 1個
 RS:X女子 Bryony Shaw

4位 RS:X男子 Nick Dempsey
6位 470女子 Christina Bassadone,Saskia Clark
6位 トルネード Leigh McMillan、Will Howden 
9位 49er Stevie Morrison,Ben Rhodes
10位 レーザーラジアル Penny Clark

 メダルを獲得できなかったチームも、ワールド優勝、ヨーロピアン優勝、オリンピックテストイベント優勝等の実績があるものの、オリンピック本番で成果(メダル)を得ることができていません。しかし、全てのクラスで10位以内に入っていることは本当にすごいことだと思います。11種目中6種目でメダルを獲得し、3種目が入賞しているイギリスは、世界で一番強い国といって良いでしょう。

 何が今の日本に必要なのか、改善していく事はあるのか、文化の違いはありますが、みなさんそれぞれに何か感じることができればと思います。

 私も正直、はっきりと全てのクラスの成績を把握していませんでしたが、この成績を実際に見て本当に驚きました。恐るべし、GBR。

◎北京オリンピック 日本チーム
7位  470男子 松永鉄也 上野太郎
10位 RS:X男子 富沢慎
12位 49er 石橋顕 牧野幸雄
13位 RS:X女子 小菅寧子
14位 470女子 近藤愛 鎌田奈緒子
35位 レーザー 飯島洋一

 日本もあと少しの所まで近づいていると思います。全体的なピラミッドの底辺拡大や、強化の方向性が上手く進んで行けば、近い将来、金メダルを獲得する選手が出てくることと思います。

 また、セーリングに魅力を感じ、本気で取り組んでいきたいセーラーが、継続して競技を続けていける環境を、選手自身が切り開いていかなければいけないのと同時に、どこまで若い選手たちに、継続できる環境情報を提供できるかも大きなポイントになると思います。

 さて、上記の結果を把握できたでしょうか?

 意外に正確な順位を知っている人は少ないと思います。ピラミッドの一番下と一番上を把握できたところで、これから少しずつ分析していきたいと思います。

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2011年02月23日

英ジュニアを分析する1


連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『イギリス・ジュニアセーリングを分析する。その1』


2月16日
 イギリスがなぜ多くのメダルを獲得できるのか、どのような組織形態で強化を行っているのか、まずはピラミッドの一番底辺であるジュニアセーリングを分析し、少しずつ段を上げて紹介していきたいと思います。

 イギリスのジュニアクラスに指定されている艇種は全部で8クラスあります。

1. Topper
2. LASER 4.7
3. TECHNO 293OD
4. CADET
5. MIRROR
6. RS FEVA
7. OPTIMIST
8. DRAGOON(Hobie)

 まずは、どのくらいの規模でジュニア選手が活動しているのか、各艇種の過去5年間の全英選手権平均参加艇数と、艇種ごとに適応体重を紹介していきます。各艇種の総会員数は、おおよそ平均参加定数の2.5倍くらいになっています。

11.02.23_01.jpg
photo UK Topper Class Association

1. トッパー
全英選手権平均参加艇数:約310艇
体重幅:47〜63kg
 イギリス国内では非常に多い艇種のひとつで、シングルハンドを始める一番最初の艇種です。適応体重も47〜63kgと、大柄な選手が活動しやすい艇種になっています。また、艤装が非常にシンプルなのと、レーザーより少し細身で子供でも乗りやすい。イギリスのレーザートップ選手の多くは、この艇種から育っています。

2. レーザー4.7
全英選手権平均参加艇数:約50艇
体重幅:62kg以上〜
 前回のオリンピックでレーザー級は金メダルを獲得しています。その一番小型版としてジュニアに対応しているレーザー4.7級ですが、以外に少なく約50艇となっています。ジュニア期の最初の艇はやはりトッパーに流れているようです。小さいころから背が高く、ある程度体重がある子供たちが、一足先に乗っているようです。
 
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2011年02月18日

ウェールズラジアル合宿



連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『ウェールズレーザーラジアル強化合宿』

文・写真・動画/中村健一

2月13日
 イギリス・ウェールズヨット協会(WYA)のレーザーラジアル(15〜18歳対象)強化合宿に参加しました。この強化合宿は毎月1回行われており、ウェールズセーラーのレベルアップには欠かせない合宿になっているようです。

 今回、WYAのラジアル選手男女18名とコーチ3名+私で開催されました。イギリスでは土日を利用した合宿がメインで、学業に支障がないように合宿プログラムが組まれています。

 また、前回お伝えしたOP級のコーチ体制と同じで、1人のコーチが担当できるのは6名まで。参加選手に合わせてコーチの人数も変化していくようです。

 この合宿では3グループに分かれ、海上での指導はグループ別で指導していました。6名の指導であれば、細かいところまで目が行き届くので、選手とコーチのコミュニケーションも海上で頻繁に取り合っていて、短時間での成長が目に見える形であらわれていました。

 コーチ陣もヨーロッパチャンピオンやレーザーラジアル世界選手権3位など、かなりの上級者がコーチングを行っています。今回の合宿では、特にスピード練習を重点に置き、さまざまなドリルを混ぜ合わせながらハードな練習を行いました。

11.02.18_03.jpg
トッパー級はOP級に次いで全英選手権出場数が多い種目。昨年は英国内だけで348艇が集まりました

 選手の大半は、ジュニア種目のトッパ−級から乗り換えてきた選手で、ジュニア時代はトップ30チームに在籍しており、技術・知識はすでにトップクラスにあります。彼らはシングルハンド級で続けてきた選手だけに、大柄な選手ばかりで、身長は全員わたし(173センチ)より高く、一番高い選手で186センチもありました。


何気にジャイブしていますが、かなり切れがあり参考になります。とても16歳には見えないですよね

 2回/月のトップグループ合宿(ランキング30位以内)に加え、WYAの地元合宿が組まれており、選手はレベルの高い選手同士の練習と、良いコーチのもとでの指導を頻繁に受けるため、非常に早い段階で、それぞれの選手が自分のスタイルを確立しつつあります。

 また今回、レーザー級トップチームのトレーニングメニューに沿って、彼らがきちんとトレーニングを行っている事が確認できたのも非常に勉強になりました。

 RYA(英国ヨット協会)ではそれぞれのクラスに合わせたトレーニングプログラムが確立されていて、配布されたメニュー表に沿って選手個人個人がきちんとこなしているのと、それをきちんとコーチ陣が管理し選手に指導している光景を見て、イギリスの強さをより感じる事となりました。

 自分が彼らと同じ高校生のときには、恥ずかしながらただ単に「負けたくない」と言う思いだけでその当時頑張って練習していたように思えます。

 高校生から始めた私にとっては、それはごく当り前の思考であったと思っていますが、たくさんのエリート選手がジュニアから上がってきている現在、セーリング競技で強くなっていくための情報を、どこまで提供できるかが鍵になるのではと私は思います。

 選手が自主的に「勝ちたい」と思いだしたときに、道しるべとなる情報があれば、まだまだセーリングも楽しくなるのでは? と感じました。

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2011年02月10日

RYAに見るジュニアトレーニング・後編

11.02.09_03.jpg
スタート方法にも趣向を凝らして、ラインを4つに分けグループ毎に指定された位置からスタートします

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『RYAインターナショナルトレーニング・後編』

文・写真・動画/中村健一

1月26日
 午後からはスタート練習を何回も行う中で、ラインを4つに分けてグループごとに指定されたポジションからのスタート練習を行っていました。

 これはなかなか良いアイデアで、全体のポジション取りに対するアプローチを効率よく学べる良いドリルだと思いました。

 スタート練習も終わり、レース練習が始まりました。レースではミーティングで話していた風のベンドや、潮の影響を考慮しながらのレース展開で、タックポジションやジャイブポジションが見ていてよくわかりました。

 午後4時にレース練習も終わり、夕暮れとともに陸に引き揚げて行きました。5時間半の長い練習にもかかわらず、子供たちは元気いっぱいでしたが、ゴムボートに立ちっぱなしの私は本当にくたくたでした。

 練習後はレースを振り返り、全体ミーティングで、どういった所がポイントだったのかを大まかに説明した後、各グループに分かれての細かいミーティングを行い、今回のスタッフのみなさんに挨拶をして解散となりました。

 この流れで日曜日も行われ、たったの2日間でしたが、非常に充実した合宿で選手たちも大変満足して終えることができました。

11.02.09_04.jpg
練習後のミーティング。実に内容の濃い2日間でした

 この合宿で一番感じたことは、コーチ陣が多く、6人に対して1人のコーチが付くことです。どうしても30名もの人数を指導するとなるとレース練習になりがちですが、しっかりと全体をカバーする体制ができていることが、強さに結び付いているように感じました。選手もこのような体制なら気兼ねなく質問でき、納得して練習に打ち込めるのでしょう。

 次に練習ドリルの多さです。選手がどういうレベルか把握しながらドリルを変化できる柔軟性と、それに対応できるドリルの多さが非常にタイムリーに行われているからこそ、目に見えて成長を確認できるのでしょう。時間があれば特集したいと思います。

 最後にコーチのスキルが非常に高いことです。選手の時はただ目標に向かってがんばればよかったのですが、コーチともなると選手がどういう風に考えているか、どうすれば今の状況を打破できるかなど、練習を行っている際に瞬時に判断し、個々の選手を導ける話をしていかなければなりません。

 選手の時とはかなり違い、色んな勉強を日々していかなければ、コーチレベルも下がってしまい、良い指導もできなくなることでしょう。そういった意味で言えば、ここでのコーチレベルが非常に高いレベルに維持できているということは、コーチ自身も多くの経験と勉強を怠ることなく行っている証拠だと思います。

 私もコーチを目指す1人として、非常に勉強になりました。しかし、マイナス2度の海上で6時間の練習には驚きました。・・・というより私自身が疲れました。

 次回はウェイマスで行われます。毎週毎週コーチも本当に忙しく国中を飛び回っています。

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2011年02月09日

RYAに見るジュニアトレーニング・前編

11.02.09_01.jpg
RYAのジュニア強化合宿に参加。参加は30名。6人が1チームとなり、各チームに1人のコーチがつきます

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『RYAインターナショナルトレーニング・前編』

文・写真・動画/中村健一

1月26日
 イギリスのジュニアセーリングでは、年間4レガッタのセレクションレースを行い、総合で上位30位に入った選手を、一年間、土日を利用して毎月2回のペースで、RYAが主催して強化合宿を行っています(英国のRYAは日本のJSAFに当たります)。

 31〜60位までのミドルチームも一年間、土日を利用して毎月1回の強化合宿を行っています。今回はこのミドルチームの合宿に参加しました。

 選手は30名、コーチは5名で、全体ミーティングを除いたミーティングや海上練習は、全て6人ずつのグループに分かれて各グループごとにコーチが指導していきます。

 コーチのメンツは世界選手権上位入賞者ばかりで、選手の質問に対して的確な回答と、きびしい指導の中、選手たちは本当に真剣に練習を行っていました。

 全体ミーティングでは、まず気象に関する話から始まり、今日の風の傾向や、潮の流れによるポジションの取り方など、大まかに話した後、それぞれのコーチグループに分かれ、細かい練習内容や、各個人的な目標などを話しあった後、準備運動を行い出艇となりました。

 私は5名全員のコーチボートに順番にのさせていただいたので、それぞれ違った指導方法を学びました。

 今回の合宿で統一された課題として、タック時の移動練習を行うことが義務づけられていました。

 ロールタック時の俊敏な移動が大切で、これをマスターできればどんな風でも良いタックができるようになるそうです。私は「飛びタック」と命名しました。



 風がなく、上記の映像の動作が非常にわかりやすいと思います。
ポイント1:タック動作に入る時、立ち上がると同時に後ろ脚を風下側に移動させ、船にウエザーヘルムを与えます。
ポイント2:ロールをかけ、アンヒールのアングルは、(ウエザーヘルムを掛ける割合を)常に一定にするためデッキに水が入る寸前まで耐えます。
ポイント3:アンヒールアングルが適正位置になったら一気に反対側に飛び移ります。※この時、左手はセンターボックスに置き、そこを軸に移動。サブティラーのエンドを持った右手で反対側のデッキをつかみ移動を完了させます。
ポイント4:タック後、ボートのアングルが正しいクローズホールドを帆走するよう、サブティラーを逆手で持ったままコントロールする。※アンヒールが入らないよう注意です。

 見た目は簡単そうですが、このドリルを1時間ずっとショートマークを使ってタックし続けていました(かなりきついと思うのですが……)。コーチの激しい指導の中、楽しそうに練習していたのが印象的でした。この時期にしっかり基礎を身に付けておけばその後の成長も大きいものになること間違いなしですね。

 朝10時に出艇して、タックとジャイブ、スピード練習を終え、ハーバーに戻ると思いきや、海上で昼ごはんです。それぞれのコーチボートに船を着けてサンドイッチを食べながら、午前の練習を振り返りセーラー個人個人が「こういう時はどうしたら良いか」「少し体重移動を遅らせたらよかった」「セールセッティングは良かったか」など、かなり積極的に質問していました。食事時間は30分ですが、話に対する回答を聞いているうちに、あっという間に時間が経ってしまい、午後のレース練習が始まりました。

 海上での食事は時間の削減となるため、非常に効率のよい事だとあらためて思いました。

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2011年01月28日

OPワンポイントアドバイス

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『OPセーラーへのワンポイントアドバイス その2(クローズホールド)』


1月16日
 今回のテーマはクローズホールドの前後トリムです。GORE−TEX 光ニューイヤーレガッタで、Aクラス3位となった高竹義樹君の、軽風下でのクローズホールド連続写真を例に、上手なクローズホールドの前後トリムを紹介します。


photo by Aki Ikegami

 写真の状況は、チョッピーな波のコンディションの中、スキッパーの重心移動がスムーズにできていて、艇にピッチングがなく前後方向が水平にキープされ、上手に前後トリムができていることがわかると思います。

 すぐ後ろに見える風下艇と見比べてみると、風下艇はバウが上下に揺れる形で、ピッチングしている状態なのが見てわかります。

 写真をよく見ると、前後トリムが上手くできているか、いないかの違いによって、スピードに差が生じていることが確認できるでしょう。

 波でボートがピッチングし始めると、バウとスターンが上下に揺れだし、ボートが前に進もうとする推進力が吸収されてしまいスピードが落ちてきます。

 また、艇の前後バランスが悪くなり、水平をキープできない状況になると、バウのステムに波が当たって急激にスピードがストップしたり、スターンのトランサムが引きずられることにより、大きな抵抗が発生しスピードロスにつながってしまいます。

 このようなスピードの低下を防ぐ鍵は、スキッパーの重心を艇の前後方向移動の中心に位置していく事と、常に艇の前後方向を水平に保つよう、波に合わせてスキッパーの重心位置を微調整していく点にあります(天秤の中心に自分が位置しているようなイメージです)。

 そのためには、写真のように1つ1つの波に対しても、丁寧にボートを揺らさないようにして、バランスを取っていく必要があります。

 写真の場合、前後方向に上手く下半身を固定させて、波に合わせて、上半身を中心に体を前後に動かしていますが、ボートは揺れていません。

 このため、スピードのロスはほとんどありません。しかしながら、バウのステムに波がわずかに当たっている瞬間があり、今後、ここが解消できるような感覚を養っていけば、さらに良いスピードがキープできるようになるだろうと思います。

 レースで折角良いスタートが切れたのに、クローズホールドのスピードが遅いため順位が落ちていったと耳にすることがありますが、クローズホールドのスピードが遅いのには、必ず遅い理由があります。

 今回、説明しているような抵抗の増加によるスピードの低下もその要因の1つになります。

 まずは、日頃の練習の時から、ボートの左右方向・前後方向ともに、常に水平になっているかどうかを意識していくことが大切です。

 そして、その感覚を研ぎ澄ましていくと、その場の波の形状を瞬間的に見ただけで、その波に合った上手な前後トリムができるようになり、スピードの低下を防げるようになるでしょう。

 みなさんのさらなるレベルアップを期待します。

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2011年01月24日

OPワンポイントアドバイス

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『OPセーラーへのワンポイントアドバイス その1(ダウンウィンド)』


1月13日
 1月8〜10日、山口県光市で開催されたGORE−TEX 光ニューイヤーレガッタ。風速10m/sのコンディション下でAクラス2位となった槇原豪君(広島)の上手なダウンウインドのパンピング連続写真を紹介します。

 パンピング前後の間、体重の前後移動がしっかりとできているので、艇の前後のバランスがきっちりと取られています。


photo by Aki Ikegami

 波のある海面の場合、バランスを前方に取り過ぎるとバウが波にもぐりやすくなるし、逆に後ろにバランスを取り過ぎてしまうとトランサムに泡が見えるようになり、抵抗が発生し、スピードがロスします。

 今回の場合、波があるため、ダウンウインドの帆走中は艇のバランスが不安定で、スキッパーはバランスがとりにくい状況です。そんな時こそ体を前後にしっかりと動かし、艇の前後が一定になるようにバランスを取ることは非常に重要で、ダウンウインドでのスピードアップの大きな鍵となります。

 また、波を上手く掴むためには、パンピングを行うタイミングが非常に重要になりますが、写真では波がスターンを持ち上げた瞬間に上手くメインシートを引き込み、艇をベアさせています。

 そして、パンピング終了後も艇のバランスが取れていて、艇スピードが失速していないため、長く波に乗り続けることができます。

 ただ、パンピング前後において、左右のバランスをもう少し丁寧に取れるようになると、さらなるスピードアップが可能になると思います。

 今回の光ニューイヤーレガッタでは、強風のダウンウインドでの順位の変動がよく見られたようです。苦手となっている原因の本質が理解できれば、苦手としているダウンウインドは攻略可能です。

 まずは、前後のバランスを取ること。そのためには、写真のように瞬間的に大きく後ろに体重を移動させることも必要となります。

 また、パンピングを行った後も艇のバランスが取れるよう、ベアする量をコントロールして失速させないハンドリングがポイントです。

 以上の事に注意し、イメージしながら練習すれば「速さ」を獲得できること間違いなしです。さらなる高みを目指してがんばってください!

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2011年01月19日

英国・次世代選手の育成

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『次世代選手の育成・英国の場合』


1月8日
 アルゼンチンで開催された420級世界選手権で、イギリスチームの女子が優勝しました。男子は5位となっていますが、彼らはこれからさらに成長していく段階にあります。

 高校生時期の年齢を対象に少しお話すると、全部で6段階で構成されるイギリスのピラミッド構造の4番目にあたるのがこの時期で、中学から高校へ移り変わる際に、艇種も29er、420、RS:X、レーザーラジアルの4艇種から自分に合った艇種を選びトレーニングが始まります(日本であればFJ級、シーホッパーSR級、SS級ですよね)。

 まず、10月、11月は月に3回、それれの地域(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド)で週末に合同練習を行い、1〜9月までは4週の中で1回は陸上練習(下記項目2・4・5・7・9)、2回は海上練習、残りの1回は、全体でセレクションを行い、年間上位70選手(4艇種)がユースサポート対象になるようです。

セーラーを管理していく項目として
1. フィジカル
2. メンタル
3. 艤装
4. 計画立案とコミュニケーション
5. タクティクス&ストラテジー
6. ボートハンドリング
7. 気象と潮
8. ライフスタイル
9. ルール

 管理項目の9項目にもレベルが設けられ、きちんと各項目をクリアしていかなければなりません。簡単なようでかなりむずかしいのではないかと思います。しかし、この項目はすでに1段目からあるので、彼らはそんなに苦ではないのかもしれませんね。

 日ごろから当たり前にしていくのと、突然始めるのでは格段の差があると思います。ここにも強さの秘訣があるのでしょう。選手たちはそれぞれ近くのヨットクラブに所属しているため、週末以外の時間は各クラブで練習を行っており、クラブ自体もユースサポートを受けられる選手の選出に力を入れています。

 この段階ですでに世界で戦える艇種に順応できる体制ができていることは素晴らしいことです。ユースコーチもそれぞれの地域にきちんといることも、指導方法の軸がぶれず、上に導ける体制ができていることにも感心します。

 上記9項目をムラなく指導していることにも注目したいところです。どうしてもおろそかになりやすい項目が沢山ありますが、そこをしっかり教育できているからこそ世界にもまれても負けない強い選手が出てくるのでしょう。

 みなさんがご存じのISAFセーリングワールドも、この中でセレクションしていくのですが、特に有力な選手や国際大会で優勝した選手は個人にサポートがつくようで、さらに競争が激化しています。

 また、この4番目の構造の中には、オプションとしてマッチレースやキールボートアカデミー、大学レースへの参加、オリンピック艇種のチャレンジなどがあります。色々な選択肢と、それをきちんとサポートできている体制にイギリスの強さを感じます。

 次の5段目は、19歳からの対象で、艇種は29er、420、RS:X、レーザーラジアル、レーザー(スタンダード)となっています。

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2011年01月03日

470Jr銅メダルおめでとう

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470ジュニアワールドで銅メダルを獲得した後藤・西山組。微軽風のボートスピードは世界を圧倒しました。photo by Junichi Hirai

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『470級ジュニア世界選手権、女子銅メダル』


12月23日
 470ジュニア世界選手権 女子:後藤・西山組、銅メダル獲得おめでとうございます。

 途中までは「金メダルだな」と見ていましたが、やはり世界一になるにはオールラウンドに走れる技術がないとそう簡単にはなれないものだな、と改めて思いました。

 私も470では色々と経験していますが、世界レベルの戦いでは微風、順風では何とか戦えるものの、強風になればアッと言う間に豆粒にされていました。

 今でこそ世界的に風が弱くなっており、4ノットの風でもレースが行われていますが、10年前の世界選手権などではわれわれがフルトラッピーズになるくらいまで風待ちで「どうして風があるのにレースをしないの?」と疑問に思っていました。

 強風のレースばかりでケチョンケチョンにされ、順位は何位か全く覚えていないくらいの成績ばかりでした。

 しかし、数を重ねてレガッタに参加していくと、少しずつ総合順位も上がりはじめ、自分なりに成長した事に喜びを感じていました。もちろん日本に帰ってレースをすればどんな風でも早く走るので、学生からすればトップセーラーとして見えていたのでしょうね。はずかしながら、世界に出れば私は学生の様に世界のトップセーラーを眺めていました。

 ここでのポイントは強風を走れない事に弱さを感じず、自分の課題として練習で重点的に取り組んで行けばいいだけで、走れない事を意識してメンタル的に自分を弱めてしまえば、全てが悪いスパイラルに入ってしまうので注意が必要です。

「この風はスタート即タックで右一本勝負だ!」くらいの気持ちで勝負するのも、場合によってはアリだと思います(注:自分の今のレベルを考えた戦いが必要)。

 また微風・順風域のレースでは、必ずシングルに入る実力を備えておく必要もあります。今の微風・順風の走りに満足せず、さらに技術を磨きあげ、確実にポイントをゲットできる自信をつけることも非常に大切です。

 どうしても「強風域が厳しい」と言ってしまいがちですが、微風・順風は本当に良いのかどうか、もう一度確認する必要があります。私は特にそこに着目し、微風・順風では誰よりも良いタクティクス、ストラテジー、バランス、動作を目指して日々練習していました。もちろん重点課題は強風でした。

 今回の後藤・西山組は、きっちり微風域で結果を出していることは本当に素晴らしいことだと思います。世界の中で戦える武器があるということは、今ある課題を真剣に取り組み改善できれば、将来チャンピオンになれるということだと私は思います。

 どんな風域でも向き不向きがあると思いますが、少しずつこのムラをなくしていくことが世界で勝つことだと思いますので、これからもしっかりがんばってほしいと思います。日本選手団のみなさん、お疲れさまでした。

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世界選手権3位のトロフィーとメダル。photo by Junichi Hirai

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2010年12月31日

次世代選手の育成を考える

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『次世代選手の育成を考える(1)』

文・図/中村健一

12月22日
 こちらで少しWYAのコーチとイギリスユースの話ができたので紹介するのと合わせて、私なりの考え(自論です)を述べて行こうと思います。

 今年のOP級世界選手権のイギリス代表は、5名中4名が体重55sで上位を狙うのは非常にむずかしいとのことでした。ではなぜイギリスはオリンピックでたくさんの金メダルを獲得できるのか、なぜイギリスの選手は強いのか、ジュニア期からの進化にどのようなスパイスが使われているのか、少し興味がありますよね。

 セーリング界のスーパースターであるイギリスのベン・エインズリーは、ジュニアOP時代での世界選手権最高順位は30位で、49erで金メダルを取ったスキッパーもISAFの420級では32位だったそうです。

 なぜこのような事を言うのかというと、ジュニア時期の成績が必ずしもオリンピックに直結しているかというと、あまり気にすることはないということです。しかしながら、これはあくまで組織の態勢が全て整っている、ということが条件になるのだと思います。

 もちろん世界選手権などで優勝した選手は将来有望ですが、成長に伴い艇種の変更による向き不向きもあるため、誰が頭角を現してくるのか分からなくなり、混戦になるようです。

 イギリスでは、ジュニア選手の育成にもっとも重点を置いているのがプロセスのようで、結果だけを見ると選手によってかなりばらつきがあるそうですが、このばらつきをトライアングル(下図参照)で常に修正し、選手のばらつきを抑え全体的なレベルアップを行っているようです。

10.12.31_05.jpg

 また、このトライアングルを上手く回すことで常に選手の知識や技術を止まることなく向上させているようです。

「結果よりもそこまでの過程が大切だ」とよく言いますが、まさにこれは長いスパンで過程を大切にし、目には見えにくいのですが、確実に選手はレベルアップしていく体制だと思います。このサイクルで過ごしてきた選手は、高校生くらいから世界と戦える知識や技術が開花し、頭角を現してくるのだと思います。

 日本にはJSAFジュニアユース育成強化委員会があり、最近活発に展開し始めていますが、まだまだイギリスのような強いトライアングルの態勢は確立されていません(比較図)。

10.12.31_04.jpg

 しかし、現段階でのJSAF には、大変感心できる取り組みがたくさんなされています。

 セーリングで上を目指す選手、コーチにもっと多くの情報(正しい情報)を発信していく事が重要で、特に地方の選手は埋もれがちなところがあるため、しっかりとフォローできる体制も確立し、日本のどこでもがんばればトップ選手になれることを伝えて行く必要があると思います。

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2010年12月26日

英・マイナス8度で練習

01.12.26_02.jpg
救助ボートもこのありさまで、雪をかきわけるだけで手の感覚が麻痺しそうです。それでも、海上ではいつもどうりのコーチングで午前2時間、午後2時間の練習を行います

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『マイナス8度の世界』

文・写真/中村健一

12月18日
 クリスマスムードで盛り上がっているイギリスですが、寒さもかなり盛り上がってきました。

 私もこんな寒い中で過ごすのははじめてで、普通に歩くのさえままならない状態です。せめてお風呂があれば一日一回癒されそうですが、シャワーのみの生活で体の芯まであったまる機会がありません。

 さて、プラスメナイ・ナショナルウォータースポーツセンターの休みはありません。20センチ積もった雪をかきわけセーリングです。船を岸まで移動させるのも4、5人での作業。

10.12.26_01.jpg
雪をかき分けて出艇します

 もう、本当に寒くてまいっています。しかしこちらのセーラーは合宿や練習を毎週行っています。私もよく「冬のセーリングでひとまわり成長できる」といっていましたが、こちらは恐らく2まわりか3まわりぐらい成長しているのかもしれないのでは? と思うぐらいすさまじい寒さの中で練習しています。ある意味これも強さの秘訣かもしれませんね。「よーし、北海道合宿だ!」とは言えませんが…。

 寒さに耐えるのもありますが、とにかく吹いています。このダブル効果も良いのでしょう。

 私もがんばってこの冬を乗り切っていこうと思います。日本でがんばっているセーラーもこの寒そうな写真を見て励みにしてください。

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2010年12月10日

セーリング競技を考える

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『セーリング競技を考える』

文・写真/中村健一

11月28日
 最近、アジア諸国のジュニア育成強化が芽を出し始め、日本のセーリングはうかうかしていられなくなっている現状があります。

 現在、日本で活躍しているトップセーラーたちの約8割は、ジュニアOP級上がりの選手が多く、いかにジュニア時期の育成効果があるかわかると思います。

 現在の日本のセーリング事情を少し考えてみると、おおまかに以下のような流れになっています。

小学〜中学生
 OP級、【シーホッパーSR級、SS級(国体専用:中学3年のみ出場可)】
高校生
 FJ級、【シーホッパーSR級、SS級(国体専用)】
大学生
 スナイプ級、470級、ウインドサーフィン級

小学〜中学生
 日本のOP級は、世界の中で戦える技術を持っています。実際の現場では、全国の大会をチェックし、たくさんの遠征に子供を連れて行き、子供たちに少しでも多くの経験をしてもらおうと、お父さんやお母さん、クラブの皆さんがものすごくがんばっています(経費もかなりかかります)。

 私としては、各地方で定期合宿を設け、コーチを派遣できる態勢が取れれば、もっとレベルが上がるのではと考えています。現実的に可能かどうかは今後の課題だと思います。

高校生
 次のステップの高校では、FJ級、シーホッパーSR級、SS級となっています。近年、道具の進化やセールの開発が進み、合計体重の軽い選手でも強風を走り切れるようになりました。それと、日本では風の吹かない海面が多く、成長盛りの選手が過酷な減量をおこなわざるを得ない現状もあります。

 また、シングルハンドのシーホッパーSR級は、インターハイの種目になく、シングルを目指す若者もあまりいないのが現状です。

 私としては、FJ級は2人の合計体重の下限体重を設定(合計体重下限:120kg)し、減量しないルールを作ってはと思います。シングルハンドはラジアル級を採用し、インターハイ種目にしてほしいと思っています。

大学生
 スナイプ級、470級、ウィンドサーフィン級と艇種は充実しており、引き続きインカレを目指してがんばってほしいと思います。

 私としては、シングルハンドのレーザー級、大学対抗マッチレース選手権などが入ってくれば、もっと面白くなりそうですが。

 基本的には、今までのままでも世界に通用する選手が出てきているのも事実です。しかし、他のアジア諸国は国がスポンサーとなり強化を推し進めているため、これまでの様なやり方では少し遅れて行くかもしれません。

 オリンピック種目も今後、上を目指して行く選手にとっては重要になってきますが、直近のISAFイベント委員会によるリオ五輪投票結果を見ると、選手の大型化が必要になってくる種目ばかりとなっています。

◎リオ五輪セーリング種目案 ※決定ではありません
 ボード、もしくはカイトボード男女 艇種検討
 1人乗りディンギー男子 レーザー級
 1人乗りディンギー女子 レーザーラジアル級
 2人乗りディンギー(スキフ)男子 49er級
 2人乗りディンギー(スキフ)女子 艇種検討
 1人乗りディンギー男子 フィン級
 2人乗りマルチハル男女混合 艇種検討
 2人乗りスピネーカーディンギー男女混合 470級
 女子キールボート エリオット6m

 社会人でセーリングを真剣に目指そうとする選手も、近年の不況でヨット部の廃部、休部、活動費削減等が多く見受けられ、セーリングを続けて行くことにも苦しくなっている現状があります。活動自体が縮小すると、基本的には日本でも世界でも勝てないため、また縮小するという悪循環が働きます。

 セーリング競技の全ての流れを、もう一度考えて行かなければいけない時期なのかもしれません。セーリング競技をどのようにとらえ、活動していくのか、子供たちに未来を与えれる競技になるよう、私自身も考えて行きたいと思います。

10.12.10_02.jpg
 ウェールズセーリング協会(以下WYA)は、ここプラスメナイ・ナショナルウォータースポーツセンターで、土日でジュニア育成についての会議と、ジュニア選手の合宿が盛んに行われています(かなり激しく討論もしています)。

 WYAには大きなスポンサーが付いていて、これを軸に活動を展開しています。ボルボ社がスポンサーで社用車は全てボルボです。

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2010年12月06日

寒くて痛い?英国の日々

連載・ケンイチ通信──FROM イングランド
『極寒!ウェールズ』

文・写真/中村健一

10.12.06_12.jpg
 イギリスは非常に天気の移り変わりが激しい国で、晴れていたかと思えば急に雨が降ったりやんだり。これまではその程度ですんでいたのですが、今週はこれまでの雨が全て雪に変わり、雪が降ったりやんだりで「本当に寒い!」のひと言です。

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 また、こちらの雪(?)はコメ粒ぐらいの大きさで、写真をみてわかると思いますが、おむすびを作る前の状態に見えます。これがゴムボート運転中に顔にあたる雪がとにかく痛い! 目に入ると最悪で天気が良くても悪くてもゴーグルが必要になってきました。

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 海上トレーニングも強風の中で行われ、生徒は沈を繰り返していました。もう見ているだけで寒すぎます。彼らはウエットスーツやドライスーツを着ていますが、顔や手が10分もしないうちにカチカチになり、本当につらそうなのが分かります。しかし、そこは心を鬼にしてしっかり1日セーリングを行いました。

10.12.06_09.jpg
 セーリングはともかく、となりで行っていたウインドサーフィンのグループはセーリング以上に今週はとてもかわいそうです。とにかく沈の繰り返しです。彼らを指さし、「われわれのほうが暖ったかいぞ!」とセーリンググループを励ましていました。

 オリンピックキャンペーンを行っていたころは、常に夏に近いところで練習、レースを行っていたので、あまり日本の冬でさえまともにセーリングしていません。これまでのツケがまとめて帰ってきている感じです。

 明日の予報も雪です。 恐るべしイギリス!

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